川古温泉

川古温泉：秘湯の湯治場、群馬県みなかみ町の隠れた名湯

川古温泉は、群馬県利根郡みなかみ町にひっそりと佇む温泉地です。その歴史は古く、江戸時代後期には既に湯が湧き出ていたと伝えられています。

効能豊かな湯

「川古の土産はひとつ杖を捨て」という言葉が示すように、川古温泉はその効能の高さで知られています。源泉名は川古温泉浜屋の湯で、カルシウム・ナトリウム - 硫酸塩泉という泉質です。源泉温度は約39.9℃で、毎分230リットルの豊富な湯が湧出しています。無色透明で、源泉かけ流し、加温なしという贅沢な湯使いも魅力です。湯治目的で訪れる人が多く、宿泊客の7割が長期滞在者であることからも、その効能の高さが伺えます。

湯治場の趣を残す温泉街

温泉街といっても、赤谷川沿いに一軒宿「浜屋旅館」があるのみという、ひっそりとした佇まいです。現在の建物は1960年の火災後に1966年に再建された鉄筋コンクリート造りですが、湯治場としての雰囲気を色濃く残しています。

歴史と文化

かつては「茂倉の湯」または「ヌル湯」と呼ばれていました。温泉はもともと赤谷部落の鎮守である十二神の所有で、大正時代には湯小屋が建てられました。尾崎喜八、高村光太郎、廣池千九郎といった文化人も湯治に訪れた記録が残っています。かつては湯守がおり、村人や湯治客の世話をしていましたが、昭和初期に浜野旅館のオーナーが経営を引き継ぎました。1999年（平成11年）には、法師温泉、湯宿温泉と共に国民保養温泉地に指定されています。

アクセス

公共交通機関を利用する場合：
上越線水上駅よりタクシーで約20分。
上越線後閑駅または上越新幹線上毛高原駅より関越交通バスで終点猿ヶ京下車後、タクシーで約15分。

車を利用する場合：
関越自動車道月夜野インターチェンジから約30分。

参考文献

木暮敬、萩原進『群馬の温泉』（上毛新聞社、1980年）
『群馬県の地名』（平凡社、1987年）
『角川日本地名大辞典』（角川書店、1988年）
地質調査書『日本温泉・鉱泉分布図及び一覧』（1975年）
地質調査書『日本温泉・鉱泉分布図及び一覧』（1992年）
『全国温泉大事典』（旅行読売出版社、1997年）
『ぐんまの源泉一軒宿』（上毛新聞社、2009年）
『みなかみ18湯』（上毛新聞社、2013年）
『新ぐんまの源泉一軒宿』（上毛新聞社、2014年）
「ぐんまの温泉」（群馬県観光局観光物産課、2020年）

関連リンク

川古温泉浜屋旅館

川古温泉は、喧騒から離れて静かに湯治を楽しみたい方におすすめの温泉地です。その効能豊かな湯と、素朴な湯治場の雰囲気をぜひ体験してみてください。

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