川島町 (岐阜県)

川島町（かわしまちょう）

概要

川島町は、かつて岐阜県羽島郡に存在した町です。2004年（平成16年）11月1日に各務原市に編入され、現在は各務原市川島○○町となっています。木曽川の中洲に位置し、全域が川に囲まれているという珍しい地理的特徴を持っていました。

地理

川島町は、木曽川の中洲に位置し、単独の市町村で全域が川に囲まれているという、全国的に見ても珍しい町でした。中洲の南西側の一部は笠松町と一宮市、南東側の一部は江南市に隣接していました。中洲だけでなく、北派川の南岸部も町域に含まれていました。

木曽川の中洲という地理的条件から、岐阜県側、愛知県側のどちらへ行くにも橋を渡る必要がありました。町内を通る東海北陸自動車道を除くと、岐阜県側からは新境川（北派川）を渡るもぐり橋のみ、愛知県側からは木曽川南派川に架かる渡橋、河田橋、小網橋の計4か所しかアクセス道路がありませんでした。また、町内には木曽川本流が流れ、川島大橋と平成川島橋が架けられていました。各務原市編入後には、5か所目のアクセス道路として各務原大橋が架けられ、小網橋は神明小網橋に架け替えられました。

大字・字

川島町は、町制施行時に大字の表記が「〇〇町」に変更されました。竹早町、緑町は町制施行後に新設された町名です。

小網町（※大字小網島）
竹早町
松倉町（※大字松倉）
河田町（※大字河田島）
松原町（※大字松原島）
緑町
渡町（※大字松原島渡分区）
北山町（※大字松原島北山分区）
笠田町（※大字笠田、大字松原島北山分区字小屋場）

歴史

年表

平安時代以前： 尾張国河沼郷と呼ばれていました。
1586年（天正14年）： 木曽川の洪水により10以上の中洲の島になりました。その後、尾張国と美濃国の境が変更され、尾張国葉栗郡から美濃国羽栗郡に変更されました。
江戸時代： 旗本坪内氏領（小網島村、松倉村、松原島村、笠田村）と尾張藩領（円城寺村）に分かれていました。
1874年（明治7年）：
3月：羽栗郡小網島村に各務郡小網村が編入されました。
9月：小網島村と上中屋村が合併し、上中屋村となりました。
1875年（明治8年）：
円城寺村の枝村の河田島村が分離独立し、河田島村となりました。
下中屋村の一部（字伊八島）が松倉村に編入されました。
円城寺村の枝村の小屋場島村が栗木村（同年、円城寺村に編入）に編入されました。
1880年（明治13年）： 上中屋村から旧・小網島村が分離し、小網島村となりました。
1884年（明治17年）： 羽栗郡の小網島村、松倉村、河田島村、松原島村、笠田村の5村が共同で組合役場を松原島村に設置しました。
1889年（明治22年）： 松倉村、河田島村、笠田村、小網島村、松原島村の5ヶ村が合併し、川島村が成立しました。村役場は組合役場をそのまま利用し、旧村で大字を形成しました。
1890年（明治23年）： 円城寺村の字小屋場島、字嘉左エ門島を編入し、大字松原島の一部となりました。
1911年（明治44年）： 大字松原島字渡島を大字松原島渡島分区、大字松原島字嘉左エ門島を大字松原島北山分区に改称しました。
1922年（大正11年）： 初代の河田橋が架橋され、隣接町村へ向かう渡船以外の手段ができました。
1927年（昭和2年）： 村役場を大字河田島に新築移転しました。
1945年（昭和20年）： 空襲を受け、数件が全焼、死者1名が出ました。
1956年（昭和31年）： 町制施行により川島町となりました。
1962年（昭和37年）： 川島大橋が完成し、町内に残っていた渡し船（笠田渡船・松倉渡船）が廃止されました。
1970年（昭和45年）： 竹早町を設置しました。
1972年（昭和47年）： 町役場を河田町に新築移転しました。
1994年（平成6年）： 緑町を設置しました。
2004年（平成16年）： 各務原市に編入されました。

洪水との戦いと独自の文化

川島町は、木曽川の中洲という地理的条件から、古くから洪水との戦いを強いられてきました。1585年の大洪水では、複数の村が水没し、十数個の中洲の島になったとされています。尾張国側には御囲堤が築かれたものの、美濃国側の堤防は低く制限されていたため、洪水による被害が頻繁に発生していました。そのため、土地は砂地が多く、水田はほとんどありませんでした。

こうした状況から、川島町では木曽川での漁業、養蚕、川石の石材業が盛んとなりました。明治時代には、織物や撚糸業も発展しました。また、洪水対策として、家屋は石垣の上に建てられ、1階を住居、2階を蚕の飼育部屋兼洪水時の避難場所とする独特の建築様式が見られました。

木曽川の改修工事によって、川島村は複数の島から2つの島（笠田と川島本島）にまとめられ、三斗山島は削り取られ住民は移住を余儀なくされました。また、外部との交通手段は長らく渡船に限られていましたが、1922年に河田橋が架橋され、自動車が通行できるようになったのは1931年以降でした。

昭和の大合併に取り残された川島村

昭和の大合併の際、川島村は歴史や文化、地域との交流で独自の色彩が強かったため、合併不能村とされ、単独で町制を施行しました。岐阜県美濃地方で合併不能村とされたのは、川島村と兼山村の2村のみでした。

行政

町長

尾関正爾（1955年4月〜1983年4月）：唯一の川島町名誉町民。
野田知澄（1983年4月〜1999年4月）
野田敏雄（1999年4月〜2004年10月）

経済

古くから繊維産業が盛んでした。かつては養蚕業、漁業、川石の採集なども重要な産業でした。

教育

中学校

川島町立川島中学校

小学校

川島町立川島小学校

川島町立川島小学校では、1978年からコンピュータやビデオなどの先進的な機器を利用した教育が行われており、国内外から教育関係者が視察に訪れていました。

幼稚園・保育園

私立かわしま幼稚園
私立川島保育園
私立川島東こども園

2004年以前に廃校となった小中学校

川島村立川島小学校渡分校（1950年廃校）
川島町立川島小学校笠田分校（1962年廃校）

交通

町内には鉄道の駅はありませんでした。最寄り駅は名鉄各務原線 高田橋駅でしたが、JR東海道本線 木曽川駅・尾張一宮駅、名鉄名古屋本線 笠松駅・新[[木曽川駅]]・名鉄一宮駅、名鉄犬山線 江南駅などが利用されていました。

バス

2004年当時のバス路線は、名鉄バス、岐阜バス、各務原市ふれあいバスが運行していました。

名鉄バス
新一宮駅前 - 川島
江南駅前 - 川島

岐阜バス
新岐阜 - 川島松倉

各務原市ふれあいバス
川島線：各務原飛行場前駅 - 消防学校前
川島休日線：各務原航空宇宙博物館前 - 消防学校前

かつては以下の路線も存在していました。

名鉄バス
岩倉駅 - 川島
東一宮駅 - （西浅井・川島経由） - 笠田
新一宮駅 - （西浅井・川島口経由） - 小網
新一宮駅 - （光明寺経由） - 渡橋
古知野駅 - （川島・木曽川駅経由） - 奥町駅

岐阜バス
川島松倉 - （中野・下羽栗経由） - 笠松駅
岐阜公園 - 新岐阜 - 川島松倉

道路

高速道路
東海北陸自動車道 - 川島パーキングエリア

主要地方道
岐阜県道93号川島三輪線

一般県道
岐阜県道114号一宮各務原線
岐阜県道115号一宮川島線
岐阜県道180号松原芋島線

娯楽

川島劇場： 昭和30～40年代に河田地区にあった映画館。
小網舞台： 小網地区にあった地歌舞伎の芝居小屋。大正時代に取り壊され、後に集会場として再建。
小網島太鼓： 関ヶ原の戦いで敗走した武将が太鼓を打ち鳴らしたのが始まりという。現在は川島夢太鼓が引き継いでいます。
八朔相撲： 松倉地区の秋葉神社で行われる子供相撲。
渡島川祭り： 渡地区の八幡神社で行われる祭り。かわしま燦々夏祭りに統合されました。

名所・旧跡・観光スポット

神社

川島町には多くの神社が存在し、それぞれに歴史があります。

神明神社（小網町）
上ノ島神明神社（松倉町）
神明神社（松倉町）
榎神社（松倉町）
神明神社（松倉町）
神明秋葉神社（松倉町）
神明神社（松倉町）
金比羅神社（松倉町）
秋葉神社（松倉町）
八幡神社（河田町）
大日神社（河田町）
神明神社（松原町）
神明神社（松原町）
神明神社（松原町）
秋葉神社（松原町）
八幡神社（渡町）
神明神社（北山町）
白鬚神社（笠田町）
神明神社（笠田町）
神明神社（笠田町）
川除神社・川除大神社・水神社
山の神
招魂社

寺院

現在存在する寺院
正覚院（河田町）
長光寺（松倉町）
西養寺（松原町）
道場（河田町）

かつて存在した寺院
妙性坊
西光坊
少林寺
観音寺

観光スポット

河川環境楽園
アクア・トトぎふ
内藤記念くすり博物館
かさだ広場
河跡湖（鉄砲川）
岐阜県広域防災センター
かわしま憩いの森

市外局番と郵便番号

川島町の市外局番は、合併前より愛知県一宮市と同じ0586（市内局番89）です。これは合併後も変更されていません。郵便番号は、かつては483（江南郵便局管轄）でしたが、現在は各務原市の郵便局ではなく、羽島郡笠松町の笠松郵便局が担当しています。

電話番号の市外局番が愛知県一宮市と同じであるため、合併以前の各務原市から川島町に固定電話で通話すると県外料金が発生します。また、フリーダイヤルなどの通話料受信者側負担の契約の場合、川島町からの通話を受けるには県外からの通話も受ける設定にする必要があるという特殊な状況があります。

脚注

この情報は主に『川島町史通史編』を参考にしています。

関連項目

岐阜県の廃止市町村一覧

外部リンク

川島町商工会

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