川崎卓吉

川崎 卓吉（かわさき たくきち）

川崎卓吉は、1871年に広島県賀茂郡広村（現在の呉市広町）で生まれた官僚・政治家であり、1936年に亡くなるまで日本の政治の中で重要な役割を果たしました。彼は医師の二男として生まれ、旧制広島中学校（現在の広島県立広島国泰寺高等学校）での4年間の学びの後、千葉中学校に転校。さらに、旧制第一高等学校を卒業し、1903年に東京帝国大学法科大学政治学科を修了しました。

大学院に進み自治制度について研究を行った後、内務省に入省し政治の道を歩み始めました。1916年には福島県知事に就任し、その後1919年からは台湾総督府内務局長や殖産局長を歴任します。1922年には名古屋市長に選ばれ、独特の市政運営を展開しました。名古屋市長の在任中には1924年に名古屋八事山本球場にて行われる第1回選抜中等学校野球大会の始球式も務めました。

その後は内務省の警保局長を経て、1925年には内務次官に就任。1926年には貴族院の勅選議員として政界に進出し、濱口雄幸や若槻禮次郎の紹介で憲政会に参加しました。1927年には憲政会が政友本党と合併し立憲民政党が設立されると、川崎は民政党の一員となり、1930年代には法律や政治を通じて国政に影響を与え続けました。

1931年には第2次若槻内閣の内閣書記官長、1932年には民政党の総務として活躍し、政治思想が揺れ動く中で議会政治の尊重とファシズムへの反対を訴えました。1935年には民政党の幹事長に選出され、更なる政治活動に意欲を燃やしました。

1936年には岡田内閣において文部大臣に任命されて入閣を果たしますが、直後に発生した二・二六事件によって政治の運営に大きな影響が及びました。彼は内務大臣に就任する予定だったものの、陸軍の干渉により商工大臣へと任命されました。しかし、就任式を迎えたその日、病に倒れ65歳でこの世を去りました。彼の墓は青山霊園にあります。

栄典と家族

川崎は1929年に従三位の位階を受け、1916年には勲四等旭日小綬章を授与されました。さらに1930年には帝都復興記念章も与えられています。彼の長女は実業家の近藤賢二の息子に嫁ぎ、これにより川崎家は近藤家と深い親戚関係を築くことになりました。近藤の次女が高島家に嫁ぐことで、川崎家は高島家を通じて三菱財閥の創業者一族・岩崎家ともつながりを持ちました。

エピソード

川崎が急逝した後、文部省は彼がいる間に鬼門とされていた大臣専用トイレを取り壊すことを決定しました。この行動は大阪毎日新聞により批判され、川崎が文部大臣として急死したことが迷信と結びつけられたのです。

川崎卓吉の政治活動や彼の人生は、日本の近代政治史の中で重要な位置を占めており、彼が果たした役割は今なお多くの人々に語り継がれています。

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