川崎庸之

川崎庸之（かわさき つねゆき）は、1908年1月16日に東京で生まれ、1996年11月3日に没した日本の歴史学者です。東京大学名誉教授、和光大学名誉教授の肩書きを持ち、日本の歴史研究に大きな足跡を残しました。

生涯

川崎庸之は、東京で生まれ、第一高等学校を経て東京帝国大学文学部国史学科に進学しました。大学では、辻善之助に師事し、1930年に卒業しました。その後、1936年に東京帝国大学史料編纂所に職を得て、研究者としてのキャリアをスタートさせました。1954年には教授に昇進し、後進の指導にも尽力しました。1968年に東京大学を定年退官し、名誉教授の称号を受けました。退官後は、和光大学教授として教鞭を執り、引き続き研究活動を続けました。

研究内容と業績

川崎庸之は、仏教を中心とした古代史、日本思想史、日本文化史を専門とし、これらの分野において多くの重要な研究成果を発表しました。特に、仏教文化が日本の歴史や文化に与えた影響に関する研究は、学界内外で高く評価されています。彼の研究は、単なる歴史的事実の解明にとどまらず、その背景にある思想や文化の本質を深く掘り下げて考察するものでした。その学問的姿勢は、多くの研究者や学生に影響を与え、日本の歴史研究の発展に大きく貢献しました。

著作

川崎庸之は、数多くの著作を執筆し、その知見を社会に広く共有しました。以下に主な著作を記します。

著作集

『川崎庸之歴史著作選集』(全3巻) 東京大学出版会 1982

共編著

『人物日本史』[毎日新聞社] 1950
『日本歴史の女性 卑弥呼から宮本百合子まで』佐山済共編、御茶の水書房 1952
『総合世界歴史事典』井上幸治・野原四郎共編、時事通信社 1954
『日本文化史辞典』森末義彰・和歌森太郎共編、朝倉書店 1962
『空海』(日本思想大系 5) 校注・解説、岩波書店 1975
『空海』(原典日本仏教の思想 3) 岩波書店 1991
『日本文化史』奈良本辰也共編、有斐閣新書 1977
『現代語訳 往生要集』(日本の名著 4) 源信著、責任編集、秋山虔・土田直鎮共訳、中央公論社 1972。
文庫化 講談社学術文庫 2018

これらの著作は、川崎庸之の研究成果を示すだけでなく、歴史を学ぶ上で貴重な資料となっています。特に、『空海』や『往生要集』の現代語訳は、多くの読者に古代日本の思想や文化を理解する機会を提供しました。

参考文献

『日本人名大辞典』
大隅和雄「川崎庸之氏の訃（学界消息）」『日本歴史』第585号、吉川弘文館、1997年、140頁。


川崎庸之は、その生涯を通じて、日本の歴史と文化の研究に情熱を注ぎました。彼の学問的業績は、後世の歴史研究に大きな影響を与え続けています。

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