市民ラジオの制度

市民ラジオの制度

市民ラジオは、電波法に規定される免許を必要としない無線局の一種です。本記事では、その制度について詳しく解説します。

制度化の経緯

市民ラジオのルーツは、1949年にアメリカで制度化された「Citizens Radio Service」に遡ります。当初、日本ではこれを「市民ラジオ」と呼んでいました。1950年、日本の電波法において、一般国民による電波利用を実現する手段として、この「Citizens Radio Service」に倣った「簡易無線」が制度化されました。

初期の簡易無線局は154.53Mcや467Mcの周波数帯を利用していましたが、無線機が高価であったため、主に大企業や官公署が利用していました。その後、1958年にアメリカでアマチュア無線用であった26-27Mc帯が「Citizens Band Radio Service」に割り当てられ、1961年に日本でも「27Mc帯の電波を使用する簡易無線局」が制度化されました。ただし、電波法令上「市民ラジオ」という用語は定義されておらず、あくまで通称として使われていました。本記事では、この1961年の制度化を「市民ラジオの制度」の始まりとします。

この「市民ラジオ」は、無線電話だけでなく、模型飛行機などを無線操縦する発振器も含まれていました。1979年に電波法令に「市民ラジオ」が登場するまで、「無線操縦発振器」も「市民ラジオ」として扱われていました。

無線操縦発振器用の周波数帯は、2012年末に削除され、事実上廃止されています。

概要

現在の電波法では、市民ラジオは、26.9MHzから27.2MHzの周波数帯を使用し、空中線電力が0.5W以下の無線局と規定されています。具体的な周波数としては、26.968MHz、26.976MHz、27.04MHz、27.08MHz、27.088MHz、27.112MHz、27.12MHz、27.144MHzの8波が使用可能です。

また、無線設備の操作に無線従事者は不要で、簡易な操作で利用できます。市民ラジオの無線設備は、技術基準に適合している必要があり、適合表示無線設備には技適マークと技術基準適合証明番号が表示されています。市民ラジオを表す記号は、技術基準適合証明番号の英字の1字目の「O」です。

市民ラジオの周波数帯はISMバンドに含まれるため、他の機器から発射される電波の影響を受ける可能性があります。当初は簡易無線の一種でしたが、1983年に免許が不要となりました。

技術基準

市民ラジオの技術基準は、以下の通りです。

電波型式：A3E（振幅変調）
周波数：上記8波
空中線電力：0.5W以下
筐体：容易に開けられない構造
空中線：ホイップ型で長さ2m以下、給電線や接地装置なし
変調用周波数：発振不可

送信部に関する技術基準は以下の通りです。

周波数の許容偏差：50ppm
帯域外領域スプリアス発射の強度：1mW
スプリアス領域不要輻射の強度：50μW
空中線電力許容偏差：+20%、-50%
占有周波数帯幅の許容値：6kHz

旧技術基準に基づき認証された適合表示無線設備の使用期限は、当初「平成34年11月30日」とされていましたが、コロナ禍により「当分の間」延期されました。現在は、新たな使用期限が設定されるまで、「他の無線局の運用に妨害を与えない場合に限り」使用可能です。

日本とアメリカの比較

アメリカでは1949年に「Citizens Radio Service」が制度化され、その後、1958年に26-27Mc帯の「Citizens Band Radio Service」が発足しました。日本では、1961年に「27Mc帯の電波を使用する簡易無線局」が制度化され、これが市民ラジオの始まりとされています。当初は簡易無線の一種であり、免許が必要でしたが、1983年に免許が不要になりました。

制度化当初

検定機器を使用すれば、簡易な免許手続きで予備免許なしで免許された。
日本国籍を持たない者は免許不可であった。
通信相手は「26Mc帯及び27Mc帯の周波数の電波を使用する簡易無線局」であり、不特定の相手との通信が可能であった。
空中線電力と周波数の組み合わせは4種類あった。
外部アンテナ、給電線、アース、送受信切替装置付きマイクの使用は可能であった。
1回の通信時間は5分以内、1分以上の間隔を空ける必要があった。
時計、無線検査簿、無線業務日誌、業務書類（免許状を除く）の備え付けは不要であった。
免許状はB5判の両面記載二つ折りで付属書付きであった。
呼出名称は「地名」＋「1から始まる一連の数字」で、地名は常置場所によって定められていた。
検定機器の型式名及び検定番号の1字目は、他の簡易無線機器と共通の「C」であった。

変遷

市民ラジオは、制度化当初は免許が必要な簡易無線局でしたが、1983年に免許が不要になり、より多くの人々が手軽に利用できるようになりました。技術基準も時代とともに改正され、現在では特定の規格に適合した無線機のみが使用可能となっています。

出荷台数

市民ラジオの出荷台数に関する具体的なデータは、本記事では割愛します。

脚注

本記事の内容は、電波法令に基づき解説しています。

関連項目

市民ラジオ
CB無線
特定小電力無線局

外部リンク

* 市民ラジオの歴史

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