平常澄

平常澄 - 平安時代後期の武士

平常澄（たいら の つねずみ）は、平安時代後期に活躍した武士であり、上総氏第3代当主です。父は平常晴、子には後に名を馳せる上総広常などがいます。諱は常隆、常高、常尊ともいわれ、「上総常澄」と名乗った可能性もあります。生年は不明で、史料からは「前権介」としか確認できませんが、系図には「上総介」と記されている場合もあります。

生涯

平常澄は、佐賀六郎あるいは相馬六郎という別名を持っていました。これは彼が六男であったことを示唆しています。父・常晴との関係は良好ではなく、常晴は兄の常兼の三男である千葉常重を養子に迎え、代々続く下総国相馬郡の地と房総平氏の惣領の座を譲りました。しかし、常重は不手際により、保延2年（1136年）に下総国守藤原親通によって逮捕・監禁され、相馬立花郷を奪われてしまいます。

この時、平常澄は好機と捉え、当時坂東に赴任していた源義朝と接近しました。三浦義明の娘と平常澄の末子・金田頼次の婚姻関係も、この連携強化の一環と考えられます。源義朝にとっても、房総半島への勢力拡大の好機であり、常重から布施郷を奪取しました。この所領を巡る争いは、常重の子である千葉常胤の代まで続きました。

平常澄には多くの息子がおり、上総氏一族の分派を生み出しましたが、その相続を巡って一族内部でも抗争が勃発しました。広常は八男にあたります。

系譜と影響

平常澄の系譜は複雑で、多くの謎が残されています。父は平常晴、母、妻は不明です。確認できる男子だけでも、伊西常景、印東常茂、匝瑳常成、佐是円阿、大椎惟常、埴生常益、天羽秀常、上総広常、相馬常清、臼井親常、時田為常、金田頼次らがおり、それぞれが上総氏や周辺地域に影響を与えました。

また、平常澄は三浦義澄に偏諱を与えたとされています。このことは、平常澄が坂東地域で一定の影響力を持っていたことを示唆しています。

史料と研究

平常澄に関する史料は断片的で、彼の生涯を完全に解明することは困難です。しかし、系図や当時の記録を総合的に分析することで、平安時代後期の東国武士社会における彼の役割や影響を推測することができます。特に、源義朝との関係や、上総氏内部の抗争、そして子孫たちの活躍は、中世武士社会を理解する上で重要な要素となっています。

近年では、野口実『中世東国武士団の研究』や、山野龍太郎の論文「鎌倉期武士社会における烏帽子親子関係」など、平常澄に関する研究も進められており、新たな知見が得られています。これらの研究成果を踏まえ、今後も平常澄の生涯と、その周辺の人物・出来事について、更なる研究が期待されます。

まとめ

平常澄は、父との不和、一族間の争い、そして源義朝との関係など、波乱に満ちた人生を送った武士でした。彼の存在は、平安時代後期から鎌倉時代初期にかけての東国社会の動乱を理解する上で、欠かせない存在と言えるでしょう。今後の研究によって、彼の生涯や業績に関する更なる解明が進むことが期待されます。

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