平田宗次

平田宗次（ひらた むねつぐ）について

戦国時代から江戸時代初期にかけて、薩摩国（現在の鹿児島県）には同名の「平田宗次」という武士が7名存在しました。彼らはそれぞれ異なる家系に属し、異なる時代を生きましたが、史料に残された事績は断片的であるため、まとめて紹介します。

1. 平田宗次（? - 永禄元年）

没年: 永禄元年3月19日（1558年4月7日）
出自: 平田氏嫡流、父は平田貞宗
通称: 又十郎
概要:
平田氏5代・貞宗の三男として誕生。
兄・昌宗が次男・宗貞の不行跡を憎んだため、宗次は次男とされた。
永禄元年、薩摩国曽於郡恒吉郷の宮ヶ原で戦死。
名跡は兄・昌宗の婿養子である光宗の次男・勝宗が継承。

2. 平田宗次（生没年不詳）

出自: 平田氏庶流、父は平田宗徳
通称: 源太、新助
概要:
平田宗徳の次男として誕生。
祖父の宗仍は平田氏3代・氏宗の次男・宗勝の養子。
日向国福島（現・宮崎県串間市）の市木で戦死。法名は「潔潭正清」。

3. 平田宗次（生没年不詳）

時代: 安土桃山時代
出自: 平田氏庶流、父は平田宗応、母は吉利久金の娘
通称: 平次郎
概要:
平田宗応の長男として誕生。
祖父は平田宗徳で、日向国福島市木で戦死した平田新助宗次は叔父にあたる。
文禄・慶長の役で戦死。享年23。

4. 平田宗次（天正13年 - 慶長4年）

生没年: 天正13年（1585年） - 慶長4年11月28日（1600年1月14日）
出自: 父は不明
通称: 三五郎
概要:
庄内の乱で同僚の吉田大蔵清盛と共に参戦。
大隅国財部での合戦で清盛が討ち死にした際、その亡骸に抱きついて涙し、敵中に駆け入り討ち死に。
享年15歳。
吉田大蔵への忠義の精神は、後に武士間の衆道を描いた『賎のおだまき』のモデルとなった。
美少年であったとされ、「容色無双」と評された。
新納忠元がその死を悼む歌を詠んだ。
曽於市財部町北詰に墓がある。

5. 平田宗次（? - 慶長5年）

没年: 慶長5年（1600年）
出自: 平田氏庶流、父は平田宗清
通称: 万兵衛
概要:
平田宗清の次男として誕生。
父の宗清は平田氏庶流の滝聞氏を号していたが、嫡流7代である平田光宗に許され平田に復姓。
関ヶ原の戦いに参戦し戦死（具体的な日時は不明）。

6. 平田宗次（天正14年 - 慶長7年）

生没年: 天正14年（1586年） - 慶長7年8月17日（1602年10月2日）
出自: 平田氏嫡流、父は平田増宗、母は上井覚兼の娘
通称: 新次郎
概要:
嫡流9代・平田増宗の長男として誕生。
島津家久（忠恒）が日向国野尻で狩りを行った際、庄内の乱の首謀者であった伊集院忠真と共に射殺された。
享年17歳。
宗次を射殺した押川則義は誤射であったと述べ、責任を取り切腹。

7. 平田宗次（文禄元年 - 慶長17年）

生没年: 文禄元年（1593年） - 慶長17年4月26日（1612年5月26日）
出自: 平田氏庶流、父は平田宗親
通称: 左馬頭
概要:
平田宗親の長男として誕生。
父の宗親が平田増宗の実弟のため、増宗長男の新次郎宗次は従兄にあたる。
島津家久（忠恒）により誅殺された増宗に連座して、父や弟ら共々刑に処された。
享年20歳。

まとめ

このように、平田宗次という名前を持つ武士は、それぞれ異なる時代を生きたにも関わらず、戦乱の中で命を落としています。彼らの足跡は、薩摩の歴史の一端を垣間見せてくれます。

参考文献

『本藩人物誌』 鹿児島県史料集（13）（鹿児島県史料刊行委員会）

外部リンク

『賎のおだまき』考 伊牟田經久、志學館大学研究紀要38号、2017-01-30
ドリアングレーと平田三五郎 『我観南国』山本実彦 著 (東京堂書店, 1916)

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