平間洋一

平間洋一（ひらま よういち）は、1933年5月14日に神奈川県横須賀市で生まれ、2020年3月11日に生涯を閉じました。彼は、海上自衛官としてのキャリアを積み重ねる一方で、歴史学者としてもその名を広く知られる人物です。最終階級は海将補で、防衛大学校教授を歴任しました。また、太平洋学会理事、戦略研究学会理事、呉市海事歴史科学館（大和ミュージアム）委員、横須賀市史編纂委員、特定非営利活動法人岡崎研究所理事、社会福祉法人興寿会理事など、多岐にわたる役職を務めました。さらに、放送法遵守を求める視聴者の会の賛同者としても活動しました。

生い立ちと転向

平間洋一の父、平間源之助は海軍軍人でした。第二次世界大戦後、公職追放の対象となり、一家は経済的に困窮した時期を過ごしました。平間自身は、一時社会主義に傾倒しましたが、左派社会党の選挙運動を支援した際にその実態を知り、思想を転向しました。この経験がきっかけとなり、コミンテルンの研究を行うようになったとされています。

軍人としてのキャリア

1952年に神奈川県立横須賀高等学校を卒業後、1957年に防衛大学校本科（電気工学専攻）を卒業（第1期生）し、英語会話部の設立に尽力しました。同年に海上自衛隊に入隊し、1958年に海上自衛隊幹部候補生学校を卒業、3等海尉に任官しました。その後、1962年に大阪外国語大学仏文科研修生、1969年には海上自衛隊幹部学校指揮幕僚課程に入校しました。1974年6月には、護衛艦「ちとせ」艦長に就任、1975年には統合幕僚学校一般課程に入校、翌年には統合幕僚学校教官を務めました。1979年1月には海上幕僚監部調査部第1班長、1980年7月には第31護衛隊司令、1981年12月には練習艦隊司令部首席幕僚、1983年2月には呉地方総監部防衛部長を歴任し、1985年3月には防衛庁戦史部首席研究員に就任。1988年3月、海将補で退官しました。

学者としてのキャリア

退官後、1989年に防衛大学校教授に就任し、「第一次世界大戦と日本海軍-外交と軍事作戦との連接」で慶應義塾大学博士（法学）の学位を取得しました。1995年には防大図書館長を務め、1999年に定年退官しました。筑波大学、常磐大学、大阪大学の非常勤講師も務め、学術界に大きく貢献しました。1996年には慶應義塾大学より博士（法学）の学位を改めて取得し、2004年4月には瑞宝小綬章を受章しました。1988年に軍事史学会理事、2009年に顧問、1998年には日英歴史交流プロジェクト軍事部会委員長、横須賀市海事資料調査会委員長を歴任しました。

主要な著作

平間洋一は、数多くの著書を執筆しました。代表的なものには、『第一次世界大戦と日本海軍――外交と軍事との連接』（慶應義塾大学出版会, 1998年）、『日英同盟――同盟の選択と国家の盛衰』（PHP研究所〈PHP新書〉, 2000年）、『日露戦争が変えた世界史――「サムライ」日本の一世紀』（芙蓉書房出版, 2004年）、『第二次世界大戦と日独伊三国同盟――海軍とコミンテルンの視点から』（錦正社, 2007年）、『イズムから見た日本の戦争――モンロー主義・共産主義・アジア主義』（錦正社, 2014年）などがあります。また、『戦艦大和』（講談社選書メチエ, 2003年）など編著も多数あります。特に『第一次世界大戦と日本海軍』は、彼の研究の中心テーマであり、その後の研究に大きな影響を与えました。また、父である平間源之助の日記を編纂した『軍艦「鳥海」航海記　平間兵曹長の日記　昭和16～17年』（イカロス出版, 2018年）も重要な業績です。

研究テーマ

彼の研究は、主に日本海軍史、国際関係史、特に日英同盟や第一次世界大戦、第二次世界大戦における日本の役割に焦点を当てています。コミンテルン研究にも力を注ぎ、その影響が日本の戦争観に与えた影響を分析しました。また、軍事史学会での活動や、日英歴史交流プロジェクトへの参加を通じて、国際的な視点からも歴史を考察しました。これらの研究を通じて、平間は日本の近現代史における様々な側面を深く理解することに貢献しました。彼の業績は、学術界だけでなく、一般読者にも広く読まれており、歴史を学ぶ上で貴重な資料となっています。

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