平高棟

平高棟（たいら の たかむね）

生涯

平高棟は、平安時代初期、具体的には弘仁から貞観にかけて活躍した人物です。桓武天皇の第三皇子である葛原親王の長男として生まれ、当初は高棟王と名乗っていました。しかし、二世王の待遇により従四位下に叙せられた後、父の請願により臣籍降下し、平朝臣姓を賜って平高棟と改名しました。

官僚としては、淳和天皇の侍従を皮切りに、中務大輔、兵部大輔、大舎人頭などを歴任し、天長7年（830年）には従四位上・大蔵卿に任じられました。仁明朝にかけては刑部卿を務め、承和9年（842年）には正四位下・大蔵卿に再任されました。翌年には従三位に昇叙し、公卿の仲間入りを果たしました。

文徳朝では参議に任じられ、引き続き大蔵卿を務めました。父の死を深く悲しみ、その姿は周囲の同情を誘ったと伝えられています。その後、皇太子である惟仁親王（後の清和天皇）の春宮大夫を兼任し、惟仁親王の即位に伴い、正三位・権中納言に昇進しました。さらに、貞観2年（860年）には中納言、貞観6年（864年）には大納言にまで昇りつめました。

貞観元年（859年）には、山城国葛野郡にあった自身の別邸を仏教修行の道場とし、「平等寺」の額を賜与されました。貞観9年（867年）に64歳で亡くなり、最終的な官位は大納言正三位でした。

人物像

平高棟は、身長が六尺（約180cm）もある偉丈夫で、美しいひげを持っていたと伝えられています。幼い頃から聡明で、古書を好んで読んだと言います。性格は細やかで親切であり、華美な生活を好まず、質素な生活を送ったようです。諸官を歴任する中でも寛容を重んじ、晩年は仏教に深く帰依して経典を読みました。大納言に任ぜられてからは、食封の多くを仏事に費やしたと伝えられています。

官歴

弘仁14年（823年）：従四位下、侍従
天長元年（824年）：大学頭
天長2年（825年）：臣籍降下（平朝臣姓）
天長3年（826年）：中務大輔
天長4年（827年）：兵部大輔
天長5年（828年）：大舎人頭
天長7年（830年）：従四位上、大蔵卿
天長8年（831年）：刑部卿
承和7年（840年）：刑部卿
承和9年（842年）：正四位下、大蔵卿
承和10年（843年）：従三位
仁寿元年（851年）：参議
仁寿3年（853年）：解職（父服喪）、起本官
斉衡元年（854年）：兼春宮大夫、辞大蔵卿
天安2年（858年）：権中納言、正三位
貞観元年（859年）：兼陸奥出羽按察使
貞観2年（860年）：中納言
貞観6年（864年）：大納言
貞観9年（867年）：薨去（大納言正三位）

系譜

父：葛原親王
母：不詳
妻：藤原有子（藤原長良の長女）
* 子：平惟範、平実雄（または平実範）、平正範、平季長、藤原房雄室

平高棟の子孫は、桓武平氏として繁栄しました。

もう一度検索