広島平野

広島平野について

広島平野は、広島県南西部に位置する、広島湾の最奥に広がる平野です。この平野は、太田川によって形成された沖積平野であり、その全域が広島市内に含まれています。

広義には、八幡川や瀬野川の河口に広がる平野も含むことがあります。

地理

広島平野は、太田川放水路と旧太田川（本川）の分岐点を境に、大きく北部と南部に分けることができます。

北部：新興住宅地と農地が混在しており、伝統野菜である広島菜の産地としても知られています。
南部：三角州の典型的な地形を示し、広島市の中心市街地を形成しています。

デルタ

広島平野の三角州は、「太田川デルタ」または「広島デルタ」とも呼ばれ、太田川によって形成されました。

河川

広島デルタを形成した太田川とその派川は、元々7つの河川がありました。しかし、治水のために西端の山手川を拡幅して太田川放水路が開削され、福島川が埋め立てられた結果、現在は以下の6つの河川が西から順に流れています。

1. 太田川放水路（太田川本流）
2. 天満川
3. 旧太田川（本川）
4. 元安川
5. 京橋川
6. 猿猴川

干拓

三角州の南に広がる海域では、江戸時代から自然の砂州を基礎とした干拓事業が盛んに行われ、「新開」と呼ばれる地域が南側へと拡大しました。これにより、広島の市街地は発展を遂げました。

治水

南部の三角州地帯、特に広島城より南の地域は、江戸時代以降の埋立地であるため標高が低いのが特徴です。そのため、かつては度々洪水に見舞われていましたが、1967年に太田川放水路が整備されたことで、市街地全体が冠水するような大規模な洪水は発生しなくなりました。

ただし、海岸に近く標高の低い南区の宇品地区や、中区の舟入南・江波地区では、現在でも大雨や高潮時に道路の冠水が発生することがあります。

交通

広島平野は、古くから畿内と九州を結ぶ東西の要所として、重要な交通路が通過していました。また、内陸部への交通路の基点としても機能しています。

中世：山陽道
近世：山陽道、出雲街道
近代以降：
鉄道：山陽本線、呉線、可部線、芸備線、山陽新幹線
国道：国道2号、国道31号、国道54号
高速道路：山陽自動車道、広島自動車道
空港：広島西飛行場（1993年まで広島空港）
港湾：広島港

参考文献

『概観広島市史』広島市　1955年
『新修広島市史　第1巻　総説編』　広島市　昭和36年
広島地理教育研究会（編）『ひろしま地歴ウォーク』(第2版)　空の下おもてなし工房　2018年9月12日

外部リンク

広島69　広島平野 - 徳山大学総合研究所「中国地方の地形環境」広島県の地形
水都広島の水辺デザイン① 太田川デルタ地帯のオープンスペース - ミズベリング
太田川の歴史 - 国土交通省・中国の一級河川

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