建設事務次官

建設事務次官とは

建設事務次官とは、国家公務員における官職の一つで、かつて存在した建設省（現在の国土交通省）において、事務方のトップを務めた役職です。建設省は、技術官僚の影響力が強い組織であり、事務官と土木技官が交互に事務次官に就任するという、たすきがけ人事の慣行がありました。これは、建設省の特殊な組織構造を反映したものであり、人事面においても特徴的なものでした。

建設事務次官の歴史

建設省の前身である建設院時代には、事務方のトップは建設院総務長官という役職でした。建設院が建設省に改組された後、事務方のトップは建設事務次官となり、建設省の解体、国土交通省への移行までその役割を担いました。

歴代の建設事務次官は以下の通りです。

建設院総務長官

阿部美樹志: 1948年1月1日 - 1948年7月10日

建設事務次官

岩沢忠恭: 1948年7月10日 - 1950年3月1日
中田政美: 1950年3月1日 - 1952年7月22日
稲浦鹿蔵: 1952年7月22日 - 1955年11月18日
石破二朗: 1955年11月18日 - 1958年6月1日
米田正文: 1958年6月1日 - 1958年12月16日
柴田達夫: 1958年12月16日 - 1961年11月1日
山本三郎: 1961年11月1日 - 1963年7月23日
山本幸雄: 1963年7月23日 - 1963年10月18日
山内一郎: 1963年10月18日 - 1965年1月7日
前田光嘉: 1965年1月7日 - 1967年11月11日
尾之内由紀夫: 1967年11月11日 - 1970年6月5日
志村清一: 1970年6月5日 - 1972年6月9日
坂野重信: 1972年6月9日 - 1973年8月1日
大津留温: 1973年8月1日 - 1974年7月16日
高橋国一郎: 1974年7月16日 - 1976年6月11日
高橋弘篤: 1976年6月11日 - 1978年5月23日
井上孝: 1978年5月23日 - 1979年5月4日
粟屋敏信: 1979年5月4日 - 1981年6月10日
稲田裕: 1981年6月10日 - 1982年6月15日
丸山良仁: 1982年6月15日 - 1984年6月16日
高秀秀信: 1984年6月16日 - 1985年10月1日
豊蔵一: 1985年10月1日 - 1987年1月10日
井上章平: 1987年1月10日 - 1988年1月12日
高橋進: 1988年1月12日 - 1989年6月27日
鈴木道雄: 1989年6月27日 - 1990年7月3日
牧野徹: 1990年7月3日 - 1992年6月26日
三谷浩: 1992年6月26日 - 1993年7月2日
望月薫雄: 1993年7月2日 - 1995年6月21日
藤井治芳: 1995年6月21日 - 1996年7月2日
伴襄: 1996年7月2日 - 1998年6月23日
橋本鋼太郎: 1998年6月23日 - 1999年7月13日
小野邦久: 1999年7月13日 - 2001年1月6日

建設事務次官の特徴

建設省の事務次官は、事務官と土木技官が交互に就任するという慣例がありました。これは、建設省が技術的な側面と行政的な側面の両方を重視していたことを示しています。また、歴代の事務次官の中には、その後のキャリアで、住宅・都市整備公団総裁や日本道路公団総裁などの要職に就く人も多く、建設行政の中枢を担う人材が輩出されていました。

建設省から国土交通省へ

2001年の中央省庁再編により、建設省は運輸省、国土庁などと統合され、国土交通省となりました。これにより、建設事務次官の役職は廃止され、初代国土交通事務次官として小野邦久が就任しました。建設事務次官の歴史は、日本の建設行政の歴史そのものであり、その役割は、現在の国土交通省にも引き継がれています。

参考文献

秦郁彦編『日本官僚制総合事典：1868 - 2000』東京大学出版会、2001年。

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