式守伊三郎 (2代)

2代 式守 伊三郎 (しきもり いさぶろう)

基本情報

2代式守伊三郎は、1925年2月13日に北海道白糠町で生を受け、1987年10月15日に62歳で亡くなった元三役格行司です。本名は松井利雄（まつい としお）で、主に荒汐部屋、双葉山道場、時津風部屋に所属していました。彼の行司としてのキャリアは1963年11月から1987年9月までの約24年間にわたり、その間に144場所で三役格として活躍しました。彼の名声は大相撲界において今も語り継がれています。

歴史とキャリア

式守伊三郎は、1936年に木村昭夫の名前で初土俵を踏みました。当初は荒汐部屋に所属していましたが、1943年1月には5代荒汐の部屋が閉鎖され、その後双葉山道場に移り、時津風部屋に所属します。1950年1月には十両格へ昇格し、1956年には幕内格に昇格します。1962年1月に2代式守伊三郎を襲名し、翌年の1963年11月には三役格行司に昇格しました。

彼は特に大関や横綱の取り組みを裁く機会に恵まれ、数多くの名試合を経験しました。特に1975年の天覧相撲では、富士櫻と麒麟児の間で行われた試合を裁き、その才能を広く知らしめました。時間いっぱいの立合い前の掛け声「待ったなしっ。互いに手をついてぇーっ！」や、試合開始後の「あいぎよーい！あごーとるごーとるごーとるごーとるごー」といった独特な声は、多くの相撲ファンに愛されました。

健康と課題

式守伊三郎はその外見から「巨漢の行司」と形容されることもありましたが、体格が優れていたわけではなく、実際には肥満でもありませんでした。しかし、彼は1987年に脳梗塞のために亡くなりました。彼の死は当時日本の大相撲界に衝撃を与えました。さらに、彼は生前、立行司に昇格することが困難であった若干の経緯があったため、「永遠の三役」とも揶揄されることもありました。

文化的な影響

彼の影響は、彼自身の行司としてのスタイルを超えて、文化的な側面にも広がっています。1984年には土俵祭の祭主を務め、地域社会への貢献も見せました。また、伊三郎の師匠である木村宗四郎の遺品である白木の軍配を用いて歴史的な取り組みを裁いた記録もあり、このことは彼の道義的な側面を物語っています。

式守伊三郎の最後の弟子は現在の幕内格行司、木村元基であり、彼が彼のスタイルを引き継いでいることが伺えます。彼の名前は、今でも相撲界での記憶に残っており、行司としての存在感は多くのファンから愛され続けています。

映画・メディアへの出演

また、伊三郎は映画『007は二度死ぬ』にも行司役で出演し、琴櫻と富士錦の取組を裁くシーンが記憶されているなど、その名は様々な場面で刻まれています。彼の存在は、大相撲という伝統的な日本のスポーツの中で、今後も語り継がれていくことでしょう。

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