張緝

張 緝の生涯と業績

張緝（ちょう しゅう、? - 254年）は、三国時代の中国で活躍した政治家であり、字は敬仲です。彼は司隸左馮翊高陵県の出身で、父は張既、弟は張翁帰、そして子供には張藐、娘には後の皇后となる張氏がいます。彼の功績や波乱に満ちた人生は、『三国志』や『魏略』などの古典文献に記されています。

政治キャリアの初期

張緝は父が亡くなった後、彼の地位を継いで西郷侯となりました。この後、中書郎として勤務し、最終的には東莞太守に昇進します。特に太和年間には温県の県令となり、その政治手腕が認められました。彼の評判は高まり、蜀漢の大軍に対する対応策を適切に示したことで注目を集めました。

曹叡（明帝）の時代、彼は呉や蜀の動向を注視し、軍事的な視点から意見を述べたことで、曹叡の信任を得るようになります。彼は騎都尉に任命され、蜀への軍事行動にも参加しました。後に尚書郎へと昇進し、その職務にふさわしい能力を認められました。

皇后の父として

嘉平3年（251年）、曹芳の皇后である甄氏が亡くなり、続く嘉平4年には張緝の娘が新たな皇后に選ばれました。これにより、彼は光禄大夫の地位に昇進し、特進も受けることとなりました。彼の妻も安城郷君の位を与えられ、家は権勢を手に入れます。しかし、娘の皇后就任により彼は郡太守の任務を解かれることになりました。

この変化に対して張緝は私邸で落ち着かない日々を送っていましたが、その後も呉や蜀についての情報を持ち寄り、意見を具申しました。特に司馬師に対して、呉の諸葛恪が処刑されるであろうとの予言をし、その通りに事が進んだことで彼の智慧が認識されるようになりました。

権力闘争と悲劇

しかし、嘉平6年（254年）2月、張緝は同郷の中書令李豊と共に、司馬師を排除し夏侯玄を大将軍に就ける計画を企てますが、この陰謀は事前に発覚。結果、彼は李豊や夏侯玄と共に捕らえられ、処刑されることになりました。この事件は彼の一族にも波及し、三族が皆殺しにされるという厳しい処罰を受けることとなったのです。

この出来事により、皇后となっていた娘も降格され、王家の名声は地に落ちました。また、彼の子である張藐もこの混乱の中で処刑されましたが、一方で後の代には孫の張殷が梁州刺史となる幸運を掴むことになります。

結論

張緝はその生涯を通じて政治に深く関与し、評価も受けましたが、権力争いの渦に巻き込まれ、その果てに悲劇的な結末を迎えました。彼の知恵と策略は当時の魏の政治に大きな影響を与えましたが、その運命は無常であることを示しています。

もう一度検索