後藤新平家

後藤新平家について

後藤新平家は、藤原北家魚名流利仁流後藤氏の末裔と伝えられる家系です。その出自は必ずしも明確ではありませんが、武家、平民、そして華族という多様な歴史を持つ日本の家です。封建時代には、伊達家の重臣であった留守家（陸奥国水沢領主）の家臣として仕えていました。しかし、近代に入り、政治家、官僚、そして医師として目覚ましい活躍をした後藤新平を輩出し、その功績によって華族の伯爵家に列せられました。

歴史

後藤氏のルーツは利仁流後藤氏と称していますが、その真偽は定かではありません。応永31年頃、後藤基之が奥州に赴き、伊達持宗に仕えたのが始まりとされています。基之から数えて4代目の基實の時代に、仕えていた伊達政景が留守氏の養子となったことで、基實も留守家の家臣となりました。その後、基實の子孫は江戸時代を通して仙台藩の重臣である留守家（水沢伊達家）の家臣として続きました。

留守家には複数の後藤氏が存在し、後藤新平の生家は、實喜（寛永元年生まれ、元禄元年没）を祖とする分家にあたります。また、江戸幕府の異国船打払令を批判し、開国を訴えて幕府の弾圧により自刃した蘭学者、高野長英も後藤宗家の出身です。後藤新平と高野長英は、後藤實房を共通の祖とする血縁関係にあります。

今日では、高野長英、後藤新平、斎藤実を「水沢の三偉人」と称していますが、新平が幼少期を過ごした江戸時代末期には、高野長英とのつながりから「謀反人の子」として、いじめを受けていたという記録があります。

新平の生家である後藤家の家禄は、最初は1貫文でしたが、宝暦7年の加増によって1貫500文、扶持米1人分、給金5金となりました。倹約に励み、主家に献金したことが評価され、天明4年に531文、天明6年にさらに500文が加増され、合計で2貫531文、切米5米となりました。これは、新平が生まれた時の家禄です。家計は決して楽ではなかったと推測されますが、留守家の家臣の3分の2以上が1貫以下の禄であったことを考えると、まだ恵まれていたと言えるかもしれません。

新平の父、實祟は慶応2年12月に隠居した實仁の家督を相続し、小姓頭となりましたが、明治2年2月、主家である留守家の削封に伴い、帰農しました。旧主の留守家は独立した大名ではなく、後藤家は平民に編入されました。

新平は、福島県須賀川病院付属医学校で学び、医師の資格を得て、愛知県立国立病院長に就任しました。その後、ドイツのミュンヘン大学への留学を経て帰国し、内務省衛生局長に就任。明治31年には台湾民政長官として台湾統治に貢献し、貴族院勅選議員に選任されました。その後、第2次・第3次桂内閣で逓信大臣・鉄道院総裁・拓殖局副総裁、寺内内閣で内務大臣・外務大臣・鉄道院総裁、第2次山本内閣で内務大臣など、数々の閣僚職を歴任しました。また、大正9年から12年にかけては、東京市長も務めました。明治39年4月には、台湾統治の功績などにより、華族の男爵に叙せられました。さらに、長年の功績が認められ、大正11年9月には子爵、昭和3年11月には伯爵に陞爵しました。

新平は、安場保和男爵の次女カツと結婚し、二男二女をもうけました。昭和4年4月13日に亡くなった後、長男の一蔵（明治26年9月23日生、昭和4年6月15日襲爵、昭和29年10月5日没）が伯爵位を継承し、昭和7年から貴族院の伯爵議員を務めました。一蔵の時代には、後藤伯爵家の住居は東京市麻布区三軒家町にありました。新平の娘である愛は、政治家、官僚、作家である鶴見祐輔の夫人となりました。一蔵の長男は新一（昭和4年3月4日生）であり、彼の時代には、後藤家の住居は東京都港区元赤坂にありました。

後藤新平家の系図

後藤新平家の系図は、『後藤新平 第1巻』および『平成新修旧[[華族家系大成]] 上巻』を参考にしています。

系譜注

系図に関する注釈は省略します。

脚注

脚注は省略します。

出典

出典は以下の通りです。

霞会館華族家系大成編輯委員会『平成新修旧[[華族家系大成]] 上巻』霞会館、1996年（平成8年）。ISBN 978-4642036702。
華族大鑑刊行会『華族大鑑』日本図書センター〈日本人物誌叢書7〉、1990年（平成2年）。ISBN 978-4820540342。
鶴見祐輔『後藤新平 第1巻』後藤新平伯伝記編纂会、1937年（昭和12年）。
松田敬之『〈華族爵位〉請願人名辞典』吉川弘文館、2015年（平成27年）。ISBN 978-4642014724。

参考文献

上記の出典を参照ください。

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