徐 (春秋)

徐（じょ）は、紀元前20世紀頃から紀元前512年まで中国に存在した東夷諸国の一つです。徐戎、徐夷、徐方、舒とも呼ばれました。

概要

夏代から周代にかけて、徐は現在の山東省臨沂市郯城県に位置していました。その後、周代初期には、安徽省宿州市泗県、江蘇省宿遷市泗洪県一帯に中心を移しました。東夷諸国の中でも特に強大な勢力を誇った徐ですが、春秋時代に入ると楚の勢力拡大に伴い、圧迫を受けるようになります。最終的には、紀元前512年に呉によって滅ぼされました。

『後漢書』東夷伝には、徐の勢力拡大と反乱について記述があります。「管、蔡は周に背き、夷狄を招き寄せた。周公がこれを鎮圧し、東夷は平定された。康王の時代には、粛慎が朝貢に訪れた。その後、徐夷は僭称して王を名乗り、九夷を率いて宗周に反旗を翻し、西に進んで黄河にまで至った。穆王は、その勢いが盛んなのを恐れて、東方の諸侯を分けて徐偃王に属させた」とあります。

ここで言及されている管と蔡は、周の武王の弟である管叔鮮と蔡叔度を指します。彼らは武王の死後、殷の紂王の子である武庚禄父と共に反乱を起こしましたが、周公旦によって鎮圧されました。徐夷が僭称したとあるのは、徐州一帯の支配者が周の支配に反発し、徐偃王を名乗って独立したことを意味します。徐偃王は九夷を率いて周を攻撃しますが、周の穆王は徐偃王の軍勢が強大であるのを恐れ、東方の諸侯を分けて徐偃王に服属させた、とされています。

考証

興味深いことに、林泰輔は、朝鮮の「卵生説話」やインドの古代伝説との類似性を指摘しています。具体的には、新羅の始祖である赫居世居西干、高句麗の始祖である鄒牟王、金官加羅国の始祖である首露王などの卵生説話と、インドの古代伝説の類似性を指摘し、また、『三国遺事』に引用された『駕洛国記』に、金官加羅国の始祖である首露王の妃、許黄玉がインドの阿踰陀国の王女であったという記述があることから、「古代にインド人が馬剌加海峡を渡って東方に交通し、朝鮮半島の南岸に加羅国を建国した」と主張しました。さらに、林泰輔は、張華が著した『博物志』に見られる徐偃王の卵生説話がインドの古代伝説と類似していることから、中国の伝承もインドから伝播した可能性を示唆しています。

脚注

徐は、中国史において重要な役割を果たした東夷諸国の一つです。その歴史は、中国と周辺地域の文化交流を示す重要な事例でもあります。
徐偃王の卵生説話は、古代中国の神話や伝説を研究する上で、非常に興味深いテーマとなっています。

関連項目

* 徐偃王

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