徐羨之

徐羨之（じょ せんし）

徐羨之（364年 - 426年）は、南朝宋の政治家であり、字は宗文、本貫は東海郡郯県である。彼は、宋の建国者である劉裕に仕え、その死後、少帝劉義符の補佐を託されるが、傅亮と謀り、文帝を即位させた。

生涯

徐羨之は、上虞県令の徐祚之の子として生まれた。若くして東晋に仕え、劉裕が桓玄討伐の兵を挙げると、これに従軍し、東晋復興に貢献した。劉裕が後秦討伐を提議した際、群臣が反対する中、徐羨之は劉裕に進言し、討伐を後押しした。劉裕が関中へ進軍すると、徐羨之は建康の留守を任され、劉穆之の死後、その職務を引き継いだ。

420年、劉裕が帝位を簒奪すると、徐羨之は建国の功臣として南昌県公に封じられ、尚書令・揚州刺史、司空・録尚書事を歴任した。劉裕の死後、遺言により、徐羨之は傅亮、謝晦、檀道済と共に少帝劉義符の補佐を任された。

しかし、少帝劉義符は政治を顧みず、側近と戯れるばかりであったため、徐羨之は傅亮や謝晦らと共に帝位の廃立を計画した。後継者候補であった劉義真を罪に陥れ、庶民に落として新安郡に流刑とした。そして、王弘、檀道済と協力し、劉義符を廃位して営陽王に降格させ、劉裕の三男である劉義隆を文帝として即位させた。

文帝即位後、徐羨之は司徒に就任したが、固辞して政界を退いた。しかし、文帝の度重なる要請により政界に復帰した。その後、孔甯子による讒言を受け、文帝は徐羨之・傅亮・謝晦の3名に劉義符および劉義真殺害の罪を問い、徐羨之に昇殿を命じた。これを知った徐羨之は、元嘉3年（426年）に首を吊って自殺した。

徐羨之は、南朝宋の成立と初期の政治に深く関与したが、最後は文帝に疎まれ、悲劇的な結末を迎えた。彼の生涯は、南朝宋初期の政争の激しさを物語る一例と言えるだろう。

参考文献

* 『宋書』巻43 列伝第3

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