愛宕元

愛宕元（おたぎ はじめ）

愛宕元は、20世紀後半から21世紀初頭にかけて活躍した中国史学者であり、京都大学名誉教授、帝京大学教授を歴任しました。1943年8月25日に生まれ、2012年1月2日に食道がんにより68歳で逝去しました。

経歴

愛宕元は、東洋史学者である愛宕松男の子として京都府に生まれました。京都大学文学部史学科で東洋史学を専攻し、1967年に卒業。その後、京都大学大学院に進学し、1970年に博士課程を中退しました。

博士課程中退後、京都大学人文科学研究所助手として採用され、研究者の道を歩み始めます。1974年からは京都大学教養部にて講師、助教授を歴任し、1992年に教授に就任しました。1993年には、学位論文『唐代地域史研究』を京都大学に提出し、文学博士の学位を取得しました。

その後、京都大学大学院人間・環境学研究科教授に異動し、2007年に京都大学を定年退職。名誉教授となりました。退任後の2008年からは帝京大学教授として教鞭を執りました。

業績

愛宕元の専門は中国史であり、特に唐代の地域史研究に力を注ぎました。詳細な史料に基づいた実証的な研究を行い、唐代の地域社会の実態や変遷を明らかにしました。

また、中国の城郭都市に関する研究も行っており、著書『中国の城郭都市 殷周から明清まで』は、中国の都市構造の歴史的変遷を概観できる入門書として広く読まれています。その他、『東洋史概説』などの概説書の執筆や、『中国の歴史』などの歴史書の編纂にも携わりました。

家族・親族

父である愛宕松男も東洋史学者であり、東北大学名誉教授を務めました。親子二代にわたって東洋史研究に貢献したことは特筆に値します。

著作

著書

『東洋史概説』学術図書出版社 1983
『中国の城郭都市 殷周から明清まで』中公新書 1991、改訂版：ちくま学芸文庫 2023
『唐代地域社会史研究』東洋史研究叢刊 同朋舎出版 1997

共編・訳注

『中国の歴史 上　古代・中世』冨谷至共編、昭和堂 2005、新版 2009年
『中国の歴史 下　近世・近現代』森田憲司共編、昭和堂 2005、新版 2009年
『日本古代史大辞典』上田正昭・井上満郎・西谷正・和田萃共編、大和書房 2006
『唐両京城坊攷 長安と洛陽』徐松撰、平凡社〈東洋文庫〉1994、ワイド版 2013
『遊城南記／訪古遊記』張礼・趙崡撰、京都大学学術出版会 2004

愛宕元は、その生涯を中国史研究に捧げ、多くの研究者や学生に影響を与えました。その学術的な功績は、今後も長く評価され続けるでしょう。

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