愛宕家

愛宕家：村上源氏から子爵家へ

愛宕家は、由緒ある公家・華族の家系です。その起源は村上源氏中院流に遡り、羽林家の家格を有していました。明治維新後には子爵家に列せられ、華族としての歴史を歩みました。

江戸時代から明治維新へ

愛宕家の歴史は、江戸時代前期から中期にかけて権大納言を務めた通福に始まります。通福は、英彦山座主権僧正有清の子として生まれ、権大納言中院通純の養子となりました。江戸時代の石高は130石と、比較的規模の小さな家系でした。

幕末から明治維新にかけては、通致・通旭父子による朝廷刷新への尽力が注目されます。二二卿建議（廷臣二十二卿列参事件）に参加し、維新に貢献しました。通旭はその後、軍防事務局親兵掛などを歴任しますが、官吏減員によって免官されています。

しかし、通旭は王政復古後の物価高騰や政府高官の洋風化に反発し、外山光輔らと協力して政権刷新を企てました。しかし、同志の密告により明治4年3月14日（1871年5月3日）に逮捕され、同年12月3日に切腹しました。これは二卿事件として知られています。

華族制度と愛宕家

明治2年（1869年）6月17日の行政官達により、旧公家と旧大名家が統合され華族制度が誕生しました。通致は旧公家として華族に列し、明治17年（1884年）7月7日の華族令施行に伴い、子爵に叙せられました。大納言直任の例がない旧堂上家として認められたことが、子爵位への叙爵につながったと考えられます。通致は宮内省に入り、侍従を務めました。

愛宕家の邸宅は、昭和前期には東京市渋谷区宇田川町にありました。

系譜と参考文献

愛宕家の系譜は、複雑な養子縁組なども含むため、詳細な図表を用いて示す必要があります。（※系譜図は、本稿では省略）

本稿の記述は、以下の文献を参考に作成されました。

修史局編『百官履歴 上巻』日本史籍協会、1928年
日本歴史学会編『明治維新人名辞典』吉川弘文館、1981年
霞会館華族家系大成編輯委員会『平成新修旧華族家系大成』上巻、霞会館、1996年
宮地正人・佐藤能丸・櫻井良樹編『明治時代史大辞典 第一巻』吉川弘文館、2011年
橋本政宣編『公家事典』吉川弘文館、2010年
近藤敏喬編『宮廷公家系図集覧』東京堂出版、1994年
小田部雄次『華族 近代日本貴族の虚像と実像』中央公論新社〈中公新書1836〉、2006年
華族大鑑刊行会『華族大鑑』日本図書センター〈日本人物誌叢書7〉、1990年
* 倉本一宏『公家源氏―王権を支えた名族』中央公論新社〈中公新書2573〉、2019年12月

これらの文献は、愛宕家の歴史、系譜、明治維新における役割、華族制度下での生活など、多角的な視点からの情報提供を行っています。

まとめ

愛宕家は、長く続いた公家・華族の家系であり、明治維新という激動の時代において重要な役割を果たしました。その歴史は、日本の近代化と深く関わっており、今後の研究においても重要な対象となるでしょう。 愛宕家の興亡は、維新期の政治的混乱や華族制度の変遷を理解する上で、貴重な事例となっています。

もう一度検索