慧観

慧観（えかん）

慧観は、中国の南北朝時代に活躍した著名な僧侶です。彼の生涯と仏教への貢献について詳しく見ていきましょう。

生涯

慧観は清河郡東武県を本貫とする崔氏の出身で、幼少の頃からその才能は際立っていました。若くして出家し、当初は江南の廬山にいた慧遠に師事しました。その後、後秦の弘始3年（401年）に鳩摩羅什が長安に到着したという知らせを受け、竺道生らと共に北へ向かい、鳩摩羅什の弟子となりました。彼は『法華宗要序』を著し、その内容が鳩摩羅什から高く評価されたと伝えられています。

長安において、慧観は以下のように評されました。

情に通ずるのは則ち(道)生と(道)融を上首とす。難に精しくするのは則ち(慧)観と(僧)肇を第一とす（『高僧伝』巻7）

後に、鳩摩羅什の翻訳事業を助けていた仏陀跋陀羅が、鳩摩羅什の門下である道恒らによって排斥されると、慧観は彼に付き従って再び廬山へ赴き、慧遠に謁見しました。東晋の義熙8年（412年）には、仏陀跋陀羅と共に荊州へ向かい、司馬休之が建立した高悝寺に迎えられ、その主となりました。

鳩摩羅什の死後、慧観は再び江南へ移り、荊州を経て都の建康に入りました。道場寺に住んだことから、一般には「道場寺の慧観」として知られています。彼は十誦律に通じていました。

竺道生が建康の青園寺で「悉有仏性説」に基づく「頓悟成仏義」を主張した際、慧観は『漸悟論』を著して道生の意見に反論しました。建康では、彼は以下のように評されました。

(道)生と(慧)叡は天真に発し、(慧)厳と(慧)観は窪(ふか)く流(もと)めて得たり（『出三蔵記集』巻15）

慧観は、法顕が翻訳した泥洹経（前半部のみの涅槃経）と、後に伝えられた曇無讖訳の北本涅槃経を、慧厳や謝霊運と共に統合編纂し、南本涅槃経を編集しました。

五時教判の提唱

慧観は、頓教・三乗別教・三乗通教・抑揚教・同帰教・常住教という五時の教判を打ち立て、江南仏教界における教判の基礎を築きました。この教判は、仏教の教えを理解するための枠組みを提供するもので、当時の仏教界に大きな影響を与えました。

南朝宋の元嘉年間（424年-453年）に、慧観は建康で70余歳で亡くなりました。

関連項目

大般涅槃経
涅槃宗

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