成城学園前駅

小田急電鉄小田原線の成城学園前駅（せいじょうがくえんまええき）は、東京都世田谷区成城六丁目に所在する駅です。駅番号はOH 14が付与されています。成城の地名が示す通り、駅名はその開設に深く関わる成城学園に由来しています。

歴史

成城学園前駅は、1927年（昭和2年）4月1日に開設されました。これは、駅設置に先駆けて当地へ移転してきた成城学園の要請を受けたことによるものです。当時の成城高等学校長であった小原國芳氏が駅招致の中心となり、駅周辺で行われた宅地開発による利益を学校建設の資金とする形で成城学園の発展が図られました。

駅構造においては、1932年（昭和7年）には小田急電鉄としては初となる橋上駅舎が導入されました。当初は島式ホーム2面4線の地上駅でしたが、その後の複々線化工事の進捗に伴い、ホームの形態が一時的に変更されました。

停車する列車種別は、開業後の歴史の中で徐々に拡大されていきました。1937年（昭和12年）には片瀬江ノ島方面への「直通」が停車を開始（小田原方面は通過）、戦後の1946年（昭和21年）には準急が設定され停車駅となります。1960年代には通勤準急、通勤急行（朝ラッシュ時上りのみ）、快速準急が停車するようになり、1971年（昭和46年）には急行の停車駅となりました。この頃、通勤急行は一旦廃止されています。

複々線化工事の本格化に伴い、1990年代後半から2000年代にかけて駅構造は大きく変貌を遂げました。1995年（平成7年）には下り待避線である1番線の使用が停止され、2002年（平成14年）には多摩急行・湘南急行の新設と同時に上り待避線である4番線も使用停止となります。同年には下り線が地下化され、喜多見検車区への出入庫線が使用を開始。さらに、同年6月には上り線も地下化され、一旦は現在の地下下り線側ホームのみを使用した島式ホーム1面2線の形態となりました。

地下化後の2004年（平成16年）、上り線側ホームの使用が始まり、上り2線・下り1線の状態を経て、同年9月26日に複々線化が完了し、現在の地下島式ホーム2面4線構造が完成しました。同年には区間準急も新設され停車駅となっています。

駅設備の面では、2005年（平成17年）に西口が新設され、翌2006年（平成18年）には駅ビル「成城コルティ」が開業し、駅機能や利便性が向上しました。

特急ロマンスカーについては、2008年（平成20年）に東京メトロ千代田線直通の列車（メトロホームウェイ、メトロさがみ、ベイリゾート）の停車が始まり、2012年（平成24年）からはメトロはこね全列車が停車するようになりました。駅ナンバリングは2014年（平成26年）に導入されています。

近年のダイヤ改正では、種別の再編や乗り入れ車両の変化が見られます。2016年（平成28年）にはJR東日本の車両が千代田線経由で小田急線に乗り入れ、当駅にも停車を開始しましたが、同時に区間準急は廃止されました。2018年（平成30年）にはメトロえのしま、メトロモーニングウェイが新たに停車し、通勤急行・通勤準急が復活（2代目）するなど利便性が向上しましたが、メトロさがみや多摩急行は廃止となりました。

編成両数についても変更があり、2019年（平成31年）以降、特急ロマンスカーを除き、6両編成の単独列車が当駅より新宿方面へ乗り入れる運用はなくなりました。現在、当駅には主に10両編成、一部各駅停車には8両編成が乗り入れています。

駅構造

成城学園前駅は、構造上は掘割式ですが、地下駅として運用されています。島式ホーム2面4線を有しており、終日緩急接続が実施されています。駅舎は地上に設けられています。

当駅は小田急電鉄の管区長・駅長所在駅であり、下北沢駅から和泉多摩川駅までの各駅を管理しています。かつて、2013年に東北沢・下北沢・世田谷代田の3駅が地下化されるまでは、小田急電鉄の途中駅としては唯一の地下駅でした。

喜多見駅の近くに位置する喜多見検車区（車両基地）と当駅は出入庫線で結ばれており、特に東京メトロ千代田線との直通列車を中心に、当駅を始発または終点とする列車が設定されています。2018年のダイヤ改正以降、当駅発着の列車は増加傾向にあります。

停車種別については、一般列車の最速種別である快速急行は通過しますが、特急ロマンスカーは千代田線に直通する下り列車の全便と上り列車の一部が停車します。ただし、新宿駅発着のロマンスカーは基本的に停車しません。

ホームの使い分けとしては、下り線の東北沢駅から登戸駅間、上り線の向ヶ丘遊園駅から東北沢駅間では、急行線と緩行線が原則的に区分されています。急行線は特急ロマンスカー、快速急行、通勤急行、急行が使用し、当駅と経堂駅の間では通勤準急も使用します。緩行線は準急、各駅停車が使用し、上記区間以外の通勤準急も利用します。なお、千代田線直通の上り急行は、経堂駅より東側では緩行線を使用します。

駅設備

駅入口から改札口までは段差がなく、バリアフリーに対応しています。改札階と各ホーム階の間を結ぶエスカレーターとエレベーターがそれぞれのホームに1基ずつ設置されています。ホームには階段が2か所ずつ設けられています。

各ホームには待合室が1室ずつ完備されています。また、ユニバーサルデザインに配慮し、車椅子使用者や人工排泄器保有者が利用可能な多機能トイレが3か所に設置されており、ベビーベッドなども備えられています。

利用状況

2023年度（令和5年度）における1日平均の乗降人員は78,145人であり、小田急線全70駅の中で15位に位置しています。

駅周辺

成城学園前駅の周辺は、特に北口側の成城五・六丁目を筆頭に、閑静な高級住宅街が広がっています。また、成城学園を中心とした学園都市の性格も強く、平日および土曜日の朝方を中心に、周辺の学校へ通学する学生や通勤する人々で駅周辺は大変混雑します。成城石井の本店も成城六丁目に位置しています。

2006年（平成18年）に開業した駅ビル「成城コルティ」は、駅直結の商業施設として多くの人々に利用されています。コルティ内には、スーパーマーケットのOdakyu OXやカフェなどが入居しています。

駅周辺には、北口、南口、西口それぞれの方面に様々な施設が点在しています。

北口方面: 成城学園の各学校（幼稚園、初等学校、中学校高等学校、大学）、世田谷区役所砧総合支所・成城出張所、成城郵便局、ゆうちょ銀行、各種金融機関（三菱UFJ銀行など）、成城石井、東京都立総合工科高等学校など。
南口方面: 成城警察署成城学園駅前交番、三井住友銀行、東京消防庁成城消防署、世田谷成城二郵便局、世田谷美術館分館清川泰次記念ギャラリー、学校（世田谷区立明正小学校、砧小学校、砧中学校、東京都市大学付属小学校・中学校・高等学校、科学技術学園高等学校）、寺院（善福寺など）、公園（次大夫堀公園、成城三丁目緑地など）、商業施設（サミットストア、オーケーなど）、東宝スタジオ（旧・東宝砧撮影所）、ABCハウジング成城住宅公園など。
西口方面: 各種金融機関（みずほ銀行、みずほ信託銀行、みずほ証券、野村証券など）、アグリス成城、公園・緑地（成城五丁目猪股庭園、成城三丁目こもれびの庭市民緑地、成城みつ池緑地など）、旧山田家住宅など。

バス路線については、南口に「成城学園前駅南口」停留所（小田急バス・東急バス）、西口に「成城学園前駅西口」停留所（小田急バス）があり、周辺地域へのアクセスを補完しています。かつて北口にあった停留所は西口広場整備に伴い移設されました。

隣の駅

小田急電鉄小田原線における当駅の隣接駅は以下の通りです。

□特急ロマンスカー（メトロはこね、メトロモーニングウェイ※一部、メトロホームウェイ、メトロえのしま）停車駅です。（新宿駅発着のロマンスカーは原則通過）
■快速急行は通過します。
□通勤急行（平日朝上りのみ）は、下北沢駅（OH 07）の次が当駅、当駅の次が向ヶ丘遊園駅（OH 19）です。
■急行・□通勤準急（平日朝上りのみ）は、経堂駅（OH 11）の次が当駅、当駅の次が登戸駅（OH 18）です。
■準急・■各駅停車は、祖師ヶ谷大蔵駅（OH 13）の次が当駅、当駅の次が喜多見駅（OH 15）です。

多様な種別が停車し、周辺地域の交通結節点として重要な役割を担っています。

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