成帝 (東晋)

成帝（せいてい）

成帝（せいてい）は、東晋の第3代皇帝であり、その治世は激動と変革の時代でした。諱は司馬衍（しば えん）、字は世根（せいこん）といい、短い生涯の中で東晋の基盤を固めるべく尽力しました。

生涯

大興4年（321年）に、皇太子司馬紹（後の明帝）と庾文君（ゆぶんくん）の長男として誕生しました。幼くして聡明であり、周囲の期待を集めました。太寧3年（325年）3月には皇太子に立てられ、将来の皇帝として教育を受けました。

同年閏8月、明帝が崩御すると、わずか5歳で皇帝として即位しました。幼帝であったため、生母である庾文君が臨朝称制を行い、政治の実権を握りました。司徒の王導（おうどう）と中書令の庾亮（ゆりょう）が輔政として政治を補佐しました。

咸和2年（327年）には、蘇峻（そしゅん）の乱が発生し、東晋の朝廷は大きな危機に直面しました。翌年には首都の建康（現在の南京）が陥落し、成帝自身も捕らえられ、石頭城（せきとうじょう）に一時幽閉されるという苦難を経験しました。しかし、郗鑒（ちかん）や陶侃（とうかん）らの活躍により乱は鎮圧され、成帝は無事に建康へ帰還しました。

北方の後趙（こうちょう）に対しては、勢力拡大を目指して何度も出兵を試みましたが、石虎（せきこ）率いる後趙軍の抵抗に阻まれ、領土を広げることはできませんでした。国内においては、豪族による山川の私有化が問題となっており、咸康2年（336年）にこれを禁じ、国家による資源管理を強化しました。また、咸康7年（341年）には初めて土断（どだん）を施行し、東晋建国時に北方から移住してきた貴族たちを戸籍に編入することで、税収の増加と社会の安定化を図りました。これらの政策は、東晋の社会構造に大きな影響を与えました。

咸康8年（342年）6月、成帝は西堂（せいどう）にて崩御しました。享年は22歳という若さでした。崩御後、弟の司馬岳（しばがく）が即位し、康帝（こうてい）となりました。

宗室

正室：杜陵（成恭皇后）
側室：周貴人
長男：哀帝 司馬丕（しば ひ） - 第6代皇帝
次男：海西公 司馬奕（しば い） - 第7代皇帝
生母不詳の子女
皇女：南平公主 - 劉胤（りゅういん）の子の劉赤松（りゅうせきしょう）に嫁ぎました。
皇女：尋陽公主 - 王坦之（おう たんし）の弟の王禕之（おう いし）に嫁ぎました。

人物評価

成帝は若くして即位し、困難な時代を生き抜いた皇帝でした。蘇峻の乱という危機を乗り越え、国内の安定化と社会改革に尽力しました。その短い治世の中で、東晋の発展に貢献したことは間違いありません。

脚注

伝記資料

『晋書』巻7 帝紀第7 顕宗成皇帝

関連項目

* 東晋の人物一覧

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