捨て仮名

捨て仮名（すてがな）とは

捨て仮名とは、日本語の表記において、「あ」に対する「ぁ」のように、通常よりも小さいサイズで表記される仮名のことを指します。印刷業界では専門用語として用いられていましたが、現在では一般にも広く認知されています。小書き文字とも呼ばれ、主に拗音、促音、外来語の表記、また送りがなや添え仮名として使われます。

捨て仮名の種類と用法

捨て仮名には、以下のような種類があります。

平仮名: ぁ, ぃ, ぅ, ぇ, ぉ, っ, ゃ, ゅ, ょ, ゎ, ゕ, ゖ
片仮名: ァ, ィ, ゥ, ェ, ォ, ヵ, ㇰ, ヶ, ㇱ, ㇲ, ッ, ㇳ, ㇴ, ㇵ, ㇶ, ㇷ, ㇷ゚, ㇸ, ㇹ, ㇺ, ャ, ュ, ョ, ㇻ, ㇼ, ㇽ, ㇾ, ㇿ, ヮ
その他: ン（𛅧）, ヰ（𛅐）, ヱ（𛅑）, ヲ(𛅦)

日本語における用法

1. 拗音・促音の表記:
拗音: 「き(ki)」+「ゃ(ya)」=「きゃ(kya)」のように、直前の文字と組み合わせて1つの音を表します。
促音: 「っ(xtu)」は、詰まる音を示します。「四ッ谷(Yotsuya)」「八ッ橋(Yatsuhashi)」のように使われます。

2. 外来語の表記:
[片仮名]]と組み合わせて、外国語の発音をより正確に表記します。例:「スィ(si)」「シェ(she)」「ファ]」[[など。ただし、これらの一部を2モーラに読む人もいます。

3. 長音の第2字としての用法:
固有名詞などで、長音の第2字として用いられることがあります。「チャイコフスキィ」「ラッキィ池田」などが例として挙げられます。

4. 助数詞、助詞としての用法
「ヶ」「ヵ」は「か」「が」「こ」を表すことがあります。「一ヶ月」、「三ヵ月」など。

捨て仮名の配置

縦書きの場合: 直前の文字の右下に寄り、升目がある場合は上に寄せます。
横書きの場合: 直前の文字の下に寄り、升目がある場合は左に寄せます。

特殊な用法

2つ以上の捨て仮名:
まれに、発音を表記しきれ[な]]い場合に2つ以上の捨て仮名が使われることがあります。例: 「スィェ(sye)」「シュ[[ァ]」。
「ヰ」「ヱ」「ヲ」:
歴史的仮名遣いで用いられた「ヰ(wi)」「ヱ(we)」「ヲ(wo)」も、小書きで表記されることがあります。

他の言語での用法

アイヌ語:
「ㇰ ㇱ ㇲ ㇳ ㇴ ㇵ ㇶ ㇷ ㇸ ㇹ ㇷ゚ ㇺ ㇻ ㇼ ㇽ ㇾ ㇿ」は、後に母音が続かない子音を表します。
朝鮮語（韓国語）:
「ㇰ ッ ㇷ゚ ㇺ ㇽ」は、終音を表すことがあります。
台湾語:
「ァ ィ ゥ ェ ォ ㇰ ッ ㇷ゚」と「ヲ」の捨て仮名（𛅦）が使用されていました。

捨て仮名の歴史

古くから: 送りがなや添え仮名としては古くから使用されていました。
近代以降: 拗音や促音に使われるようになったのは近代以降で、当初は主に外来語に限られていました。
第二次大戦後: 和語や漢語にも使われるようになりました。
現代かなづかい: 1946年に初めて正式に規定されました。カタカナで早くから用いられましたが、平仮名で一般的に使用されるようになったのは昭和30年代以降です。
* 法令・公文書: 法令や公文書では長らく平仮名の捨て仮名が用いられませんでしたが、1988年以降、使用が認められました。

まとめ

捨て仮名は、日本語の表記をより豊かにする重要な要素です。拗音、促音、外来語の表記など、多様な場面で活用され、日本語の表現の幅を広げています。印刷用語から一般に普及した背景や、他の言語での使用例も興味深い点です。

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