新潟市の交通

新潟市は、本州日本海側の交通の要衝として、陸路、海路、空路の各交通機関が発達しています。しかし、自家用車への依存度が高く、公共交通機関の利用促進が課題となっています。

新潟市内には、以下のJR東日本の路線が運行しています。

上越新幹線: 新潟駅
信越本線: 新潟駅 - 越後石山駅 - 亀田駅 - 荻川駅 - さつき野駅 - 新津駅 - 古津駅 - 矢代田駅
白新線: 新潟駅 - 東新潟駅 - 大形駅 - 新崎駅 - 早通駅 - 豊栄駅 - 黒山駅
越後線: 新潟駅 - 白山駅 - 関屋駅 - 青山駅 - 小針駅 - 寺尾駅 - 新潟大学前駅 - 内野駅 - 内野西が丘駅 - 越後赤塚駅 - 越後曽根駅 - 巻駅 - 岩室駅
羽越本線: 新津駅
磐越西線: 新津駅 - 東新津駅 - 新関駅

市内の主要駅は新潟駅で、上越新幹線の終着駅でもあります。新津駅は、信越本線、羽越本線、磐越西線が分岐する交通の要衝です。かつては新潟交通電車線も存在しましたが、1999年に全線廃止されました。

新幹線

上越新幹線は、東京駅から新潟駅まで最速約1時間40分で結んでいます。日中は毎時1 - 3本運行していますが、10時台から13時台の運行間隔は40～60分と、他の政令市所在の新幹線駅に比べて長くなっています。

新潟駅東側には、新幹線車両基地があり、車両の点検・整備が行われています。

上越新幹線の新潟駅以北では、在来線との乗り換えを同一ホームで可能にする設計が取り入れられています。また、上越新幹線を新潟空港へ直接乗り入れる構想も存在します。

JR在来線

新潟駅は、市内の中心駅であり、新津駅は新潟市内第2のターミナル駅です。

普通列車の運行間隔は、新潟 - 新津・内野・豊栄間で日中20分間隔。新津・内野・豊栄以遠は60 - 80分間隔、新津から新発田・五泉方面は60 - 120分間隔となっています。西蒲区では増発を求める声が上がっています。

市内には貨物専用駅として新潟貨物ターミナル駅があります。新津駅周辺には鉄道施設が多く、新津運輸区や総合車両製作所新津事業所などがあります。新潟市新津鉄道資料館では、新津と鉄道に関する資料を見学できます。

現在、新潟駅周辺では在来線の連続立体交差化事業が進められています。

主な列車

特急「しらゆき」：新潟駅 - 上越妙高駅・新井駅間
快速「SLばんえつ物語」：新津駅 - 会津若松駅間
特急「いなほ」：新潟駅 - 酒田駅・秋田駅間
快速「べにばな」：新潟駅 - 米沢駅間（休止中）
快速「海里」：新潟駅 - 酒田駅間
快速「越乃Shu＊Kura」：新潟駅 - 上越妙高駅間

JR以外の鉄道・軌道の不在

新潟市内には、JR線以外の鉄道・軌道系交通機関は現存しません。政令市の中で、JR線以外の軌道系交通機関が一切存在しないのは新潟市のみです。

かつて存在した新潟交通電車線は、1999年に全線廃止されました。

万代島へのアクセス手段として、LRTやモノレールの敷設計画案がありますが、実現には至っていません。

高速バス

新潟市は、高速バスの路線網が発達しています。

県外線

新潟交通と各地のバス会社が共同で運行する路線が、新潟駅万代口や万代シテイバスセンターを発着し、県外主要都市を結んでいます。

旧ツアーバス系の路線は、新潟駅南口を発着し、東京便を中心に運行されています。

県内線

「ときライナー」ブランドで9路線が運行され、市内主要停留所と県内各地を結んでいます。

高速道路上のバス停を利用することで、市域内の交通手段としても利用可能です。

路線バス

新潟市内の路線バスは、新潟交通とその子会社が運行しています。市営バスなどの公営交通の事業実績は皆無です。

近年、路線バスの運営状況は厳しく、路線廃止や削減が進んでいます。一部の路線は、行政や住民組織の助成金によって運行が維持されています。郊外では公共交通の空白域が増加しており、自家用車に依存せざるを得ない地域も存在します。

「オムニバスタウン計画」や「にいがた新バスシステム」など、路線網再編やインフラ整備が進められています。

一般路線バス

中央区中心部を起点に、市内や近郊、郊外を結ぶ路線網が発達しています。主要発着地は、新潟駅、万代シテイバスセンター、新潟市役所前、青山です。

主要拠点間はBRT「萬代橋ライン」で結ばれています。

特に利用客が多い路線は、「W2 西小針線」と「E2 空港・松浜線」です。

コミュニティバス

観光循環バス

新潟市中心部の観光施設を経由する観光循環バスが運行されています。2019年からは白山公園先回りの一方向のみとなり、運行頻度が30分間隔に短縮されました。観光循環バス専用の一日乗車券も発売されています。

空港リムジンバス

新潟駅南口と新潟空港をノンストップで結ぶ専用リムジンバスが運行されています。

バス路線再編

2008年に策定された「にいがた交通戦略プラン」に基づき、路線網再編やバス停整備、ICカード乗車券「りゅーと」の導入などが進められました。

市内中心部から郊外へ向かうバス路線は「骨格幹線バス路線」として指定され、運行体系の高度化が図られています。

萬代橋ライン開業

2015年に、BRT「萬代橋ライン」が開業しました。これは、新潟駅 - 古町 - 市役所間を結ぶもので、都心軸の公共交通を強化するものです。将来的には、新潟駅と鳥屋野潟南部を結ぶ区間の整備も計画されています。

道路

高速道路

新潟中央JCTは、北陸自動車道、日本海東北自動車道、磐越自動車道の3路線が分岐する要衝です。市内には9つのインターチェンジがあり、これは日本の市町村で最多です。

バイパス道路

新潟市内には、新潟バイパス、栗ノ木バイパス、亀田バイパス、新津バイパスなど、多くのバイパス道路が整備されています。新新バイパスに併設された道の駅豊栄は、日本初の一般道路に設けられたパーキングエリアです。

一般道路

市内中心部には一方通行の道路が多く、迂回が必要な場合があります。近年、道路整備が進み、一方通行規制の解除や交通円滑化が進められていますが、課題も残っています。

市内を走る主な道路

高速自動車国道: 北陸自動車道、磐越自動車道、日本海東北自動車道
自動車専用道路: 新潟西バイパス
一般国道: 国道7号、8号、17号、49号、113号、116号、289号、350号、403号、460号
その他: 市道、県道

道の駅

道の駅花夢里にいつ
道の駅豊栄
道の駅新潟ふるさと村

タクシー

市内には複数のタクシー会社が運営しています。かつては多くのタクシー会社が存在しましたが、倒産や合併などにより数が減っています。

水運

信濃川を経由する水上バス「信濃川ウォーターシャトル」が定期運航されています。

パークアンドライド

市内の高速道路バス停留所には、無料のパークアンドライド駐車場が設けられています。また、市内JR全駅には無料の駐輪場が整備されています。

沿革

1869年: 新潟港が開港
1886年: 初代萬代橋が完成
1897年: 北越[[鉄道]]（現信越本線）開通
1904年: 新潟駅開業
1909年: 二代目萬代橋が完成
1912年: 越後鉄道（現越後線）開通
1933年: 新潟電鉄の東関屋 - 白根間が開業
1952年: 白新線葛塚駅から新発田駅間が開業
1956年: 白新線全通
1958年: 新潟駅が現在地に移転
1973年: 新潟バイパスが開通
1978年: 北陸自動車道の一部が開通
1982年: 上越新幹線大宮駅 - 新潟駅間が開業
1985年: 関越自動車道全線開通、上越新幹線上野駅乗り入れ開始
1988年: 北陸自動車道全線開通
1991年: 上越新幹線東京駅乗り入れ開始
1997年: 磐越自動車道全線開通
1999年: 新潟交通電車線が全線廃止
2006年: JR東日本でSuicaサービス開始
2011年: 新潟交通でりゅーとサービス開始、新潟港が日本海側拠点港となる
2015年: BRT開業
2018年: 新潟駅2～5番線高架化
2022年: 新潟駅全線高架化

交通分担率

新潟市は、自家用車への依存度が高く、公共交通機関の利用率は低い状況です。都市交通における自動車分担率は全国の政令市の中でも最も高く、公共交通分担率は低い水準に留まっています。

市では、公共交通機関の利用促進に向けた様々な取り組みを進めていますが、自家用車依存からの転換は容易ではありません。

2021年には、今後10年間を見据えた「新潟市都市交通戦略プラン」が公開され、広域交通の連携強化や各区の住民ニーズに対応した公共交通の検討を進めています。

今後の課題

新潟市では、公共交通機関の利用促進、交通渋滞の緩和、環境負荷の低減など、多くの課題を抱えています。これらの課題解決に向け、公共交通機関の整備、道路網の整備、都市計画の見直しなどを総合的に進めていく必要があります。

また、BRTなどの新たな交通システムの導入や、鉄道やバスなどの既存の交通機関の利便性向上、公共交通機関への乗り換えを促進するパークアンドライドの整備なども、重要な課題となっています。

まとめ

新潟市は、多様な交通機関を持つ都市ですが、自家用車への依存度が高く、公共交通機関の利用促進が課題となっています。今後の公共交通機関の整備や、市民の意識改革を通じて、より持続可能な都市交通の実現を目指していくことが重要です。

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