方等経

方等経（ほうどうきょう）について

方等経とは、大乗仏教における経典をまとめて指す言葉です。この用語は、方等（サンスクリットで言うところのVaipulya）という語に由来し、その意味は平等の真理、つまり普遍的な真如の理を示しています。また、方広（方廣）とも訳され、これは広大な教義を表しています。方等経は、広く発展した教えを包含するものであり、その中でも優れた経典は「大方等」や「大方広」と呼ばれ区別されています。

語源と歴史的背景

方等経についての見解は、さまざまな経典や教義に基づき成り立っています。たとえば、『大般涅槃経』の第15章には、「何等をか名付けて毘仏略と為す」とあり、大乗方等経典はその教義が広大で虚空のようであると説明されています。この教えの中には、小乗仏教にはない独特の方等の教説が存在し、小乗の経典は原始的な仏典分類である九部経や十二部経に限られています。このため、大乗経典は次第に「方等経」と総称されるようになりました。

特に「大方等」として知られる経典群は、重要な地位を占めており、たとえば『華厳経』の正式名称である『大方広仏華厳経』がその代表的な例です。このような経典は、広範な教義を持ち、実践者に深い理解を促す内容となっています。

方等経の教えの解釈

天台宗においては、大乗経典群を指し示すものとして方等経が使われています。特に教相判釈に分けられ、浄土三部経（『阿弥陀経』など）、『大日経』、さらには『金剛頂経』『金光明経』『維摩経』、『勝鬘経』、『解深密経』などの経典がこの方等部に含まれています。

また、「弾呵」あるいは「だんか」と呼ばれる教えもこの方等経の一部として位置づけられています。これは、小乗の修行者に対する厳しい問いかけや叱責が含まれている経典を指します。その一例として、『維摩経』が挙げられます。この経典では、釈迦の弟子たちが在家の維摩詰に対してやりこめられる姿が描かれており、方等経の特性を見事に示しています。

方等経は、その広範な教義の中で、仏教徒が真理を追求するための指針を提供しており、特に大乗仏教の普及と発展に寄与してきた重要な経典群です。

もう一度検索