日本縦断クイズ合戦

『日本縦断クイズ合戦』は、1980年 4月6日から同年6月29日まで、毎週日曜日の正午から約1時間、TBS系列局を中心に放送された視聴者参加型のクイズ番組です。全13回が制作・放送されました。TBS系列以外では、当時フジテレビ系列とのクロスネット局だった福島テレビやテレビ山口でも放送されていました。

この番組は、先行番組である『クイズ列車出発進行』のスタイルを受け継ぎ、国鉄（現在のJR）や私鉄の列車、またはバスを貸し切って日本各地を移動しながらクイズに挑戦するというユニークな形式を採用していました。ただし、内容面では前番組から大幅な変更が加えられています。ゲーム形式の廃止、ゲスト歌手による問題出題の廃止、そして敗者復活戦もなくなった点は大きな違いです。しかし、チェックポイントとなる「落っこちクイズ」という名称はそのまま引き継がれました。興味深いのは、タイトルから「列車」がなくなったことからも分かるように、最終回のみ鉄道を利用せず、バスのみでの旅となった点です。

番組の司会は、番組のオープニングテーマ曲も担当した出門英と、前番組から引き続いて出題も兼任した当時のTBSアナウンサー、松宮一彦が務めました。また、「引き裂きクイズ」のコーナーには、途中から荒井注がレギュラー出演しました。

番組の進行とルール

毎週16組32人（2人1チーム）の参加者が集まり、トーナメント形式で進行しました。各ラウンドには独特のルールが設定されていました。

1回戦：2チームずつが対戦する「落っこちクイズ」が行われました。これは早押し形式で、踏切警報機を模したSEが鳴ると解答権が得られるというものでした。不正解を出したチームは即座に失格となり、次の停車駅で番組から離脱するという、まさに一発勝負でした。
2回戦：ここでは3択問題が出題されました。1回戦を勝ち抜いたチームの中から、成績上位4チームが準決勝へ進むことができました。
準決勝：準決勝は2チームずつによる早押しクイズで、各対戦で5問が出題されました。この準決勝には「引き裂きクイズ」という特殊なルールが組み込まれていました。これも踏切警報機のSEで始まり、問題に不正解したチームは、そのチームのメンバーのうち1人が次の停車駅で降りなければならない、という厳しいルールでした。これにより、決勝戦に進出しても1人で戦うことになる可能性がありました。5問のうち先に3問正解したチームが決勝進出となりました。
決勝戦：決勝戦は、番組の最終目的地で、その土地の名所を舞台に行われました。決勝も早押しクイズで、合計9問が出題されました。先に5問を正解したチームがチャンピオンとなり、賞品として三井旅行主催のアメリカ・ディズニーランド旅行と副賞の賞金10万円が贈られました。賞金は1問正解につき2万円で、もし9問全て終了してもチャンピオンが決まらない場合は、正解数の多いチームが優勝となり、獲得賞金とその金額分の国内旅行券が贈られるシステムでした。

旅の舞台となった場所

番組では、日本全国様々な場所を訪れ、列車やバスの中で、あるいは目的地の名所でクイズが行われました。例として以下のような場所が挙げられます。

岐阜県（高山本線・高山市）
広島県（山陽本線・瀬戸内海沿岸）
静岡県三保
宮崎県・鹿児島県（日南線・志布志市）
箱根（箱根登山鉄道・箱根町）
茨城県（筑波鉄道・筑波山）
北海道（最終回、バスでの旅）
成田空港（京成スカイライナー）
和歌山県（紀勢本線・旧型客車）
宮崎県（高千穂線・高千穂峡）
富山県（城端線・お座敷列車）
三浦半島（京浜急行・油壺）
* 福島県・新潟県（磐越西線・奥只見）

特に富山県での放送回では、当時県内にTBS系列局がなかったため、石川県のTBS系列局である北陸放送が制作協力を行っています。

短命に終わった背景

前番組の『クイズ列車出発進行』では開催地にちなんだご当地クイズが多く出題されましたが、『日本縦断クイズ合戦』で出題されたのは、特定の地域に偏らない一般的な知識クイズでした。

1980年 4月6日は、奇しくも他の局でも多くのクイズ番組がスタートした日でした。これらの番組の中には、後に全国ネットに昇格し長寿番組となった『世界一周双六ゲーム』（朝日放送制作）などがありました。これらの多くは、本番組より早い時間帯（午前11時台）に放送されており、ローカルセールス枠での放送という共通点がありました。

一方、『日本縦断クイズ合戦』は正午の全国ネット枠での放送でした。前番組同様オールロケで収録することで差別化を図ったものの、同時間帯に放送されていた強豪番組、例えば『NHKのど自慢』（NHK）、『クイズ・ドレミファドン!』（フジテレビ）、『目方でドーン!』（日本テレビ）、あるいは関西地方で人気のあった『花の新婚!カンピューター作戦』（関西テレビ）などに視聴率で大きく水をあけられる形となりました。結果として、わずか1クール（3ヶ月）の全13回で放送を終了し、同日にスタートした民放のクイズ番組の中では最も短命に終わってしまいました。

短命の要因としては、強力な裏番組の存在に加え、『アメリカ横断ウルトラクイズ』（日本テレビ）の形式を模倣しているように見られた点も指摘されることがあります。

TBSにおける旅を続けながらクイズに参加するという形式の番組は、この『日本縦断クイズ合戦』が最後となりました。しかし、同時期やそれ以降、日本テレビの『アメリカ横断ウルトラクイズ』やその派生番組である『全国高等学校クイズ選手権』（過去に列車やバスを使用）、テレビ新広島の『エンジェルツアーハッピークイズ』、NHKの『クイズ歴史紀行』など、同様の旅クイズ形式の番組は他局で制作・放送されています。

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