明道館

明道館（めいどうかん）

明道館は、江戸時代後期の安政2年（1855年）に福井藩主・松平慶永によって設立された藩校です。藩の人材育成と学問振興を目的としていました。

設立の経緯

松平慶永は、横井小楠の意見書「学校問答書」を参考に、学問の重要性を認識し、人材育成を重視しました。安政2年1月、福井城三の丸にあった大谷半平（大館兵馬）の屋敷地を学問所とすることを決定し、同年3月に明道館が完成しました。

高野半右衛門（真斎）が教授に任じられ、前田万吉・吉田悌蔵・徳山唯一が助教として教育にあたりました。入学資格は原則として15歳以上の帯刀身分でしたが、それ以下の者や近隣の塾で学ぶ14歳以下の書生も入学を許可されました。講釈、表講、素読、幼儀、会読輪講などの授業が定期的に行われました。休日は毎月1日、15日、25日でした。

橋本左内が江戸での学問修行から帰藩後、監事兼助教として登用された安政3年以降、学科が充実しました。経書科、国史科、歴史諸子科、典令科、詠歌詩文科、兵書武技科、習書算術暦学科、医学科、蘭学科が設けられ、幅広い分野を学ぶことができました。医学科は、別に済世館（文化2年・1805年設置の仮医学所が起源）で教授されました。

教育内容の充実

安政3年3月に慶永が帰国した後、6月には明道館の「御規則」が制定され、11月からは15歳以上40歳までの300石以上の家臣・子弟は、1か月のうち10日間、朝四ツ時から夕七ツ時まで明道館に詰めて学ぶことが義務付けられました。

安政4年1月には、橋本左内が学監に就任しました。同月には、城下に4か所の「外塾」が指定され、藩士の子弟を対象とした素読などの基礎教育が充実しました。また、西洋兵術・武器の採用に伴う軍政改革の一環として、同年4月には「武芸稽古所」が設置され、明道館の付属となりました。さらに、同月に「洋書習学所（洋学所）」が明道館内に開設され、医学所の教導者が教師を担当し、10月には医学所の付属となりました。9月頃からは、実用的な教科として財政、建築、砲術、暦法、航海術の基礎となる算科も導入されました。

安政4年8月に橋本左内が江戸詰めとなった後は、村田巳三郎（氏寿）が幹事局御用取扱と武芸所御用掛を兼務しました。同年11月には大砲科が設置されました。安政5年4月、熊本藩から横井小楠が明道館に招かれると、40歳以下の藩士を強制的に明道館に詰めさせる体制は変化し、生徒の自主性や藩校としての主体性が尊重されるようになりました。

明治維新後

文久3年（1863年）に三の丸北側、濠を隔てた八軒町の空き地（元鷹冷場）に移転し、その後、足羽川に面した木蔵に移転しました。

明治2年5月22日（1869年7月1日）には、明新館と改称し、福井城内に移転しました。この明新館が、後の旧制福井中学校、現在の福井県立藤島高等学校へと繋がっています。

明道館・明新館からは、由利公正、関義臣、日下部太郎など、多くの有能な人材が輩出されました。明新館時代には、ウィリアム・グリフィス（理化学担当）などのお雇い外国人も招かれ、教育の国際化も進められました。

参考文献

参考文献は省略

外部リンク

「グリフィスの知人アルフレド・ルーシィ（Alfred Lucy）について書かれた資料はあるか。」 - レファレンス協同データベース

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