有吉義弥

有吉義弥の生涯

有吉義弥は、1901年（明治34年）に東京府で生まれました。父は内務官僚で貴族院議員も務めた有吉忠一です。松山市の高校を経て東京帝国大学を卒業後、1925年（大正14年）に日本郵船に入社しました。1933年（昭和8年）にはロンドン事務所に異動し、国際的な業務にも携わっています。

戦時中は、戦艦大和や武蔵の建造に必要な資材輸送を担い、日本の海運を支えました。終戦後は商船管理委員会理事長として、海外にいた多くの日本人を帰国させる事業に尽力しました。1953年（昭和28年）に日本郵船に復帰し、1965年（昭和40年）には社長に就任しました。その後、1971年（昭和46年）から1978年（昭和53年）まで会長を務め、日本郵船の発展に大きく貢献しました。

1978年（昭和53年）には、経済協力開発機構（OECD）の民間諮問機関である経済産業諮問委員会（BIAC）の会長にも就任し、国際的な舞台でも活躍しました。また、同年には勲一等瑞宝章を受章し、大英帝国勲章も授与されています。

有吉義弥の人物像

有吉義弥は、ウィットに富んだ快活な人物として知られ、外国人からも厚い信頼を得ていました。スポーツを愛し、水泳、ボート、ラグビー、野球、ゴルフなど、多岐にわたるスポーツを嗜みました。また、芸者遊びを好み、京都に住む祖父のもとを訪れては、日本の古い文化を深く学びました。英語力も高く、中学時代に英国人教師から指導を受けたことで、英国人と互角に話せるほどの語学力を身につけました。

有吉義弥の親族も多岐にわたり、初代中国大使の有吉明や元尼崎市長の有吉実が叔父にあたります。次男の有吉煕は三菱重工業横浜造船所の所長を務めるなど、親族も各界で活躍しました。また、政治家の山崎巌、元建設事務次官の柴田達夫、元日本電信電話公社総裁の米沢滋、東宝アドセンター社長の川上流二は、それぞれ有吉義弥の義弟にあたります。さらに、川上家を通じて天文学者の寺尾寿とも姻戚関係にありました。

有吉義弥は、実業家としての手腕だけでなく、その魅力的な人柄と幅広い知識で、多くの人々に影響を与えました。彼の生涯は、日本の海運業の発展とともに、国際的な交流の重要性を示しています。

参考文献

有吉義弥 『花と柳と』 国際海運新聞社、1966年
有吉義弥 『海運五十年』 日本海事新聞社、1975年
佐藤朝泰 『閨閥 日本のニュー・エスタブリッシュメント』 立風書房、1981年
The Collected Writings of Modern Western Scholars on Japan by Carmen Blacker, Hugh Cortazzi, Ben-Ami Shillony 1999
* 秋田博 『海の昭和史　有吉義弥がみた海運日本』 日本経済新聞社、2004年、ISBN 4-532-16467-2

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