木村章司

木村 章司の軌跡

1977年7月20日に生まれた木村 章司は、北海道網走郡美幌町出身の元プロボクサーです。現役時代は花形ボクシングジムに所属し、日本スーパーバンタム級のタイトルを二度獲得しました。故郷である網走支庁において、史上初めてボクシング興行が開催された際に中心選手を務めた人物としても知られています。

ボクシング以外の活動としては、俳優の萩野崇が初主演を務めた映画「HERO?天使に逢えば…」に出演した経験があります。現役引退後は、横浜市にある鴨居駅近くで飲食店「章舞」の店長を務めるなど、様々な職を経験した後、現在は空調設備会社に勤務しています。

ボクシングへの道に進むきっかけは、マイク・タイソンへの強い憧れでした。美幌北中学時代から、遠く離れた帯広市のボクシングジムへ通い始めます。北海道美幌高校を卒業後、札幌市のジムに短期間在籍しましたが、その後横浜市の花形ボクシングジムへ移籍し、プロのキャリアをスタートさせました。

プロデビュー戦は1997年10月3日、横浜文化体育館で行われ、4ラウンド判定による勝利を飾ります。キャリア初期には、1998年8月23日に横浜アリーナで開催された辰吉丈一郎や坂本博之が出場した世界戦のアンダーカードで、初回KO勝利を収めるなど、注目度の高い舞台で活躍しました。2000年以降もパシフィコ横浜での興行で勝利を重ね、特に元WBA世界フライ級王者のセーン・ソー・プルンチットには10ラウンドTKOで勝利を収めるなど、強豪との対戦経験を積んでいきました。

デビュー以来、快進撃を続けた木村は、2004年5月23日に行われた元WBA世界スーパーフライ級王者ヨックタイ・シスオーとの一戦で、右拳を負傷しながらも判定勝利を手にし、デビューからの連勝記録を「17」に伸ばします。しかし、同年10月30日、両国国技館での世界戦アンダーカードで、WBC世界スーパーバンタム級王座挑戦経験のある仲里繁と対戦し、10ラウンド判定で引き分けとなり、連勝記録はここで途絶えることとなりました。

日本王座獲得と防衛

待望の日本王座初獲得は、2005年4月16日、日本武道館でのダブル世界戦のアンダーカードでした。当時の日本スーパーバンタム級王者であった中島吉謙に挑み、10ラウンド判定の末、自身初のタイトルを手に入れます。しかし、同年9月22日の初防衛戦で福原力也に敗れ、王座を失うと同時にプロ初黒星を喫し、無敗記録も途絶えました。その後再起を果たし、再び日本王座を目指します。

2006年10月9日、福原からタイトルを奪った山中大輔に挑戦しますが、再び判定負けで王座返り咲きは叶いませんでした。しかし諦めず、実力者との対戦を重ね、2009年2月25日、第30回チャンピオンカーニバルで日本スーパーバンタム級王者となっていた三浦数馬に挑みます。過去に引き分けている相手でしたが、この時は2ラウンドでの鮮やかなKO勝利を収め、見事二度目の王座獲得に成功しました。この勝利は高く評価され、東日本ボクシング協会の月間最優秀選手賞とチャンピオンカーニバル最優秀選手賞を受賞しています。

二度目の王座の初防衛戦は同年6月8日、6位の金沢知基を相手に行われました。試合を終始有利に進め、9ラウンドに左アッパーでダウンを奪いKO勝利。防衛成功後、改めてWBC世界王者への挑戦意欲を示しました。この試合も月間最優秀選手賞に選ばれています。しかし、同年12月14日に行われた1位・芹江匡晋との防衛戦では、1-2の僅差の判定で敗れ、王座を失うこととなりました。

世界王座挑戦と現役引退

日本王座陥落後、木村は世界王座挑戦の機会を得ます。2010年5月20日、タイのマハーサーラカームで行われたWBA世界スーパーバンタム級王者プーンサワット・クラティンデーンジム（タイ）との一戦です。ランキング12位として挑んだ木村は、序盤積極的に攻めましたが、試合中に激しい下痢に見舞われ、スタミナを大きく消耗。これが響き、4ラウンドに3度のダウンを喫してKO負けとなり、世界王座獲得はなりませんでした。

試合後、「悔いはない」と語り、一度は現役引退の意向を表明します。

しかし、それから1年半を経た2012年、木村はまさかの現役復帰を果たしました。2月14日、後楽園ホールで、かつて自身が敗れたプーンサワットからベルトを奪った元WBA世界スーパーバンタム級王者、李冽理とフェザー級契約の10回戦で対戦します。多くの下馬評を覆し、2-1のスプリットデシジョンで判定勝利を収め、再起戦を白星で飾りました。

この勝利により、WBA世界フェザー級スーパー王者クリス・ジョンへの挑戦権を獲得。同年5月5日、シンガポールで世界最高峰の一人であるクリス・ジョンに挑みます。しかし、王者の高い壁を崩すことはできず、0-3の大差判定負けを喫しました。試合中に鼻骨を骨折していたことも後に判明しています。

このクリス・ジョン戦を最後に、木村は改めて現役からの引退を表明しました。

引退後の2012年12月3日には、後楽園ホールで行われた興行において、元WBC世界2階級王者である長谷川穂積を相手に引退記念スパーリングを行い、多くのファンの前で雄姿を見せました。

プロ戦績と獲得タイトル

プロボクシングでの最終的な戦績は31戦24勝（9KO）5敗（1KO）2分です。

第29代日本スーパーバンタム級王座（防衛0）
第34代日本スーパーバンタム級王座（防衛1）

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