本多忠貫

本多忠貫：伊勢神戸藩最後の藩主の生涯

本多忠貫は、伊勢国神戸藩の第7代にして最後の藩主です。本多家8代当主にあたります。波乱の幕末から明治維新へと続く激動期を生き抜き、様々な役職を歴任した人物として知られています。

出身と養子縁組

天保4年(1833年)、忠貫は出羽国新庄藩主・戸沢正令の次男として江戸に生まれました。母は島津重豪の娘である貢子です。幼少期から華麗な出自を背景に成長した忠貫でしたが、その人生は養子縁組によって大きく転換することになります。

神戸藩主・本多忠寛は当初、別の養子を迎える予定でしたが、その養子であった忠穆が夭折。このため、安政3年(1857年)2月、忠貫は新たに本多家の養子として迎え入れられました。翌安政4年(1858年)4月、将軍徳川家定に拝謁し、同年4月26日には養父・忠寛の隠居に伴い、家督を相続。神戸藩の藩主となりました。

藩主としての活動と幕末の動乱

安政5年(1859年)11月、忠貫は従五位下伊予守に叙任されます。その後、重要な役割を担う竹橋門番を務めたのち、文久3年(1863年)10月には山田奉行に就任。第48代目の山田奉行として、江戸幕府の重要な行政機関の一翼を担いました。山田奉行は、江戸城周辺の治安維持や行政、そして幕府の重要な政策に関わる重要な職務でした。忠貫は、激動の幕末期において、こうした職務を通して政治の最前線に身を置いていたのです。

明治維新後、明治2年(1869年)6月には版籍奉還により知藩事に任じられました。しかし、明治4年(1871年)7月の廃藩置県により、藩主としての職務を終え免官となりました。

明治時代と晩年

廃藩置県後は、上野東照宮の社司に就任。その後、明治17年(1884年)の華族令によって子爵の爵位を授かります。これは、忠貫が藩主として、そして山田奉行として幕末期に果たした役割が評価された証と言えるでしょう。明治31年(1898年)6月24日、66歳でこの世を去りました。家督は、外孫である忠鋒が継承しました。

家族関係

忠貫の出自、そして婚姻関係、そして養子縁組は、その生涯における重要な要素でした。実父は戸沢正令、実母は島津重豪の娘である貢子です。養父は本多忠寛であり、妻は本多忠升の娘でした。忠貫の子女については、本多忠恕の生母であった正室の子女がいたことが分かっています。また、養子として西尾忠受の四男である本多忠恕を迎え、その子である本多忠鋒が後に家督を継いでいます。

まとめ

本多忠貫の生涯は、激動の時代を生き抜いた一人の藩主の物語です。戸沢家という名家出身でありながら、養子として本多家に入り、藩主として、そして山田奉行として、幕末から明治へと続く大きな時代の転換期に重要な役割を果たしました。その功績は、華族令による子爵位への叙任という形で認められています。66年の生涯を終えた後も、その名は歴史に刻まれ続けることでしょう。

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