本立寺 (豊島区)

本立寺（ほんりゅうじ）

本立寺は、東京都豊島区東池袋に所在する日蓮宗の寺院です。1618年（元和4年）に善了院日詠によって開山されました。この寺は、江戸時代中期に大きな転換期を迎えます。姫路藩藩主榊原政邦の生母である延寿院が深く帰依したことで、以降、榊原家の奥方たちの菩提寺としての役割を担うようになりました。

吉原遊女、六代目高尾太夫の墓

本立寺の境内には、特に有名なものとして、吉原の遊女であった六代目高尾太夫の墓があります。高尾太夫は、当時の姫路藩主、榊原政岑に深く愛され、1800両という大金で身請けされることとなりました。しかし、この出来事は、当時の将軍、徳川吉宗による奢侈禁止令に抵触し、政岑は強制的に隠居させられるという処分を受けます。さらに、榊原家は越後国高田藩への懲罰的な転封を命じられることとなります。政岑と高尾太夫は高田に移り住むものの、政岑はまもなく死去。その後、高尾太夫は出家し、政岑の菩提を弔いました。その後、江戸に戻り、本立寺で余生を過ごしたと伝えられています。

神木隊戊辰戦死之碑

また、本立寺には「神木隊戊辰戦死之碑」も建立されています。神木隊は、高田藩を脱藩した幕府派の旧藩士たちによって組織された部隊で、上野戦争や箱館戦争で戦いました。この慰霊碑には、戊辰戦争で戦没した26名の隊員の氏名が刻まれています。この碑は、戊辰戦争という激動の時代を生きた人々の歴史を今に伝える貴重な存在です。

アクセス

本立寺は、東京メトロ有楽町線の東池袋駅から徒歩約6分の場所に位置しており、都心からのアクセスも良好です。

参考文献

伊藤栄洪、堀切康司 著『豊島区史跡散歩 (東京史跡ガイド16)』学生社、1994年
「雑司ヶ谷村 本立寺」『新編武蔵風土記稿』 巻ノ16豊島郡ノ8、内務省地理局、1884年6月。NDLJP:763977/87。

関連事項

高尾太夫
神木隊

本立寺は、歴史的な出来事と人々の物語が深く刻まれた場所であり、訪れる人々に静かな思索の場を提供しています。

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