本願寺津村別院

本願寺津村別院（北御堂）

大阪市中央区本町に位置する本願寺津村別院、通称「北御堂」は、浄土真宗本願寺派に属する由緒ある寺院です。本山西本願寺の別院であり、山号を龍谷山と称します。本尊には阿弥陀如来を安置し、地域の人々から篤く信仰されています。住職は浄土真宗本願寺派の門主が兼務しますが、実務は別院輪番が主管しています。また、境内には浄土真宗本願寺派の大阪教区教務所が併設されており、教務所長は津村別院の副輪番が務めます。

名称の由来

別院名にある「津村」は、戦国時代に摂津国西成郡に見られた郷名に由来します。かつてこの地が入り江であった頃の古名「円江（つぶらえ）」が転じたものとされています。船場が市街地として発展した後も、1872年まで当院の北側に位置する御霊神社にかけての地域が「津村南之町」という町名で呼ばれていました。また、当院の東側を通る御堂筋は、北御堂と南御堂（真宗大谷派難波別院）の門前を通る道であったことにその名が由来しています。

歴史

草創期

津村別院の歴史は、天正20年（1592年）に、天満にあった天満本願寺が京都に移転した後、大坂の門徒たちが現在の大阪市中央区天満橋京町の八軒家浜付近に集会所を設けたことに始まります。この集会所が、慶長2年（1597年）に「津村」または「円江」と呼ばれていた現在地に移転し、「津村御坊」と改称しました。慶長10年（1605年）には本堂が建立され、寺院としての基礎が築かれました。

江戸時代

江戸時代に入ると、津村御坊は整備が進められ、本堂、書院、対面所、台所、鐘楼、山門などを備える大規模な寺院となりました。明暦元年（1655年）には、朝鮮通信使の宿舎として使用され、約800人もの人々が宿泊した記録が残っています。津村御坊は、計9回も朝鮮通信使の宿舎として利用されました。

元禄5年（1692年）には、建物の改築や境内地の拡張が行われ、元禄7年（1694年）には蓮如上人を祀る二尊堂が建立されました。しかし、元禄9年（1696年）に二尊堂は焼失。その後、二尊堂の再建と同時に寺地の拡張が行われ、元禄12年（1699年）に再興慶讃法要が執り行われました。二尊堂の完成は、享保7年（1722年）のことでした。

近代

享保9年（1724年）には、享保の大火によって堂舎が焼失しましたが、享保19年（1734年）には境内地を拡張した上で再建されました。弘化3年（1846年）には二尊堂が再建されました。

明治維新後の1868年（明治元年）には、津村御坊に大坂鎮台（大坂裁判所）が置かれました。同年3月には明治天皇が行幸し、書院が天皇の行在所となりました。その後、1872年（明治5年）にも明治天皇の行在所となっています。

1873年（明治6年）には大阪府病院が当院に移転し、本堂を除くほとんどの建物が病院に貸与されました。1876年（明治9年）には、津村御坊から現在の「津村別院」へと名称が改められました。

1878年（明治11年）には、当院で大阪商法会議所の第一回総会が開催され、五代友厚が初代会頭に選出されました。1879年（明治12年）には、大阪府病院が中之島に移転し、建物が返却されました。

1888年（明治21年）には、境内の南側に第21代宗主の明如（大谷光尊）により相愛女学校（現在の相愛大学本町キャンパス及び相愛中学校・高等学校）が設立されました。

近現代

明治時代と大正時代にも境内地が拡張され、約6,596坪の広さに達しましたが、1927年（昭和2年）には御堂筋の拡張工事のため境内地の東側が売却されました。

1930年（昭和5年）には、地下鉄御堂筋線の工事のため、境内の東側が削り取られました。太平洋戦争中の1945年（昭和20年）の大阪大空襲では、本堂に200から300発、対面所にも100発の焼夷弾が降り注ぎ、全焼しました。

戦後、1946年（昭和21年）に仮本堂の建築が始まり、1951年（昭和26年）に完成しましたが、1954年（昭和29年）に火災により焼失しました。

現在の本堂は、1964年（昭和39年）に鉄筋コンクリート構造で再建されました。1965年（昭和40年）には境内の南東に御堂ビルディングが建設され、竹中工務店本社・大阪本店となっています。1966年（昭和41年）には、北御堂と南御堂（真宗大谷派難波別院）が中心となり、第一回御堂まつりが開催されました。この祭りが後の御堂筋パレードへと発展しました。

近年

2019年（平成31年）1月9日には、山門の下に「北御堂ミュージアム」が開館し、大坂本願寺以来の大阪と本願寺の関わりを紹介しています。2022年（令和4年）には、大阪第二有楽ビルと相愛学園本町学舎の一部が解体され、学校とオフィス、ホテルからなる複合施設に建て替える工事が開始されました。

境内

現在の境内は、東を御堂筋、南を本町通、西を渡辺筋、北を備後町通に囲まれた範囲に位置します。境内には、本堂のほか、相愛大学本町キャンパス、相愛中学校・高等学校、大阪第二有楽ビル、御堂ビル（竹中工務店本社・大阪本店）などが所在します。

主要な施設

本堂：1964年（昭和39年）4月に再建された鉄筋コンクリート構造の建物で、宝形造の屋根が特徴です。1階は寺務所、2階は津村ホール、3階は書院、4階が本堂となっています。
親鸞聖人像：境内には、浄土真宗の開祖である親鸞聖人の像が安置されています。
蓮如上人像：浄土真宗中興の祖である蓮如上人の像も安置されています。
山門：寺院の入口を飾る山門です。
北御堂ミュージアム：2019年（平成31年）1月9日に開館した博物館で、山門の下に位置します。
相愛大学本町キャンパス：1888年（明治21年）に設立された相愛女学校を前身とする大学のキャンパスです。
相愛中学校・高等学校：1947年（昭和22年）に設立された中学校と、1948年（昭和23年）に設立された高等学校です。

文化財

大阪市指定有形文化財：木造阿弥陀如来立像

アクセス

電車：OsakaMetro（御堂筋線・中央線・四つ橋線）本町駅A階段2番出口から左側すぐ。

関連情報

日本の寺院一覧
学校法人相愛学園
相愛大学
相愛中学校・高等学校

外部リンク

北御堂 (浄土真宗本願寺派 本願寺津村別院))

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