東ガンガ朝

東ガンガ朝：オリッサ地方を支配したヒンドゥー王朝

東ガンガ朝は、5世紀末から1[[5世紀]]前半にかけて、東インドのオリッサ地方に存在したヒンドゥー王朝です。南インドにも同名の西ガンガ朝が存在したため、区別するために「東」ガンガ朝と呼ばれています。首都はカリンガナガルに置かれました。

歴史

成立

東ガンガ朝の起源は5世紀末にまで遡ります。王朝の記録が明確になるのは、9世紀末のインドラヴァルマンの治世からです。それ以前の歴史は不明な点が多いですが、この地域における有力な勢力として存在していたと考えられています。

最盛期と内乱

アナンタヴァルマン王の時代に、東ガンガ朝は最盛期を迎えました。彼は72年にも及ぶ長い治世で、北はガンジス川、南はゴーダヴァリー川に至る広大な帝国を築き上げました。また、12世紀には、オリッサのプリーに現在も残る巨大なヒンドゥー寺院であるジャガンナート寺院を建設しました。しかし、アナンタヴァルマンの死後、王位継承を巡る争いが起こり、31年もの間、王位が空位となる混乱期を迎えます。

最終的に、アナンタヴァルマンの息子であるビーマ・デーヴァ2世が王位に就き、争いは終結しましたが、この混乱の間に南西ベンガルはベンガル地方のセーナ朝の支配下に入り、東ガンガ朝の領土に戻ることはありませんでした。

デリー・スルターン朝との戦い

東ガンガ朝は、デリー・スルターン朝との間で絶え間ない戦いを繰り広げました。13世紀初頭には、デリー・スルターン朝の武将がオリッサに侵入しましたが、ラージャラージャ2世によって撃退されました。また、その息子であるビーマ・デーヴァ3世も同様にデリー・スルターン朝の軍を撃退しています。

ナラシンハ・デーヴァ1世の治世には、東ガンガ朝は反撃に転じ、ベンガル地方に侵攻して、奴隷[[王朝]]の軍を破りました。しかし、その後もデリー・スルターン朝との戦いは続き、一進一退の攻防が繰り広げられました。ナラシンハ・デーヴァ1世はコナーラクの寺院を建設したことでも知られています。ナラシンハ・デーヴァ2世の時代には、一時失った領土を奪還し、ガンジス川にまで進出しました。その後も、トゥグルク朝の侵攻を退けるなど、東ガンガ朝は独立を維持するために戦い続けました。

衰退と滅亡

14世紀に入ると、東ガンガ朝は次第に衰退していきました。トゥグルク朝の失政によって地方長官が独立し、東ガンガ朝の領土は新興勢力の標的となりました。ベンガル・スルターン朝やヴィジャヤナガル王国などの新興勢力による攻撃に加えて、トゥグルク朝の侵攻も受けました。特に、フィールーズ・シャー・トゥグルクによる侵攻では、首都が占領され、ジャガンナート寺院が略奪されるなどの大きな被害を受けました。

その後、ナラシンハ・デーヴァ4世の時代には、バフマニー朝、マールワー・スルターン朝、ジャウンプル・スルターン朝などからの遠征軍を迎え、王朝は衰退しましたが、攻撃には耐え抜き、独立を保ちました。しかし、1424年にナラシンハ・デーヴァ4世が死去すると、王国の実権は宰相のカピレーンドラに握られ、1434年にカピレーンドラによって最後の王バーヌ・デーヴァ4世が廃位され、ガジャパティ朝が樹立され、東ガンガ朝は滅亡しました。

歴代君主

インドラヴァルマン (在位: ? - 893年)
デーヴェーンドラヴァルマン4世 (在位: 893年 - ?)
ヴァジュラハスタ・アナンタヴァルマン (在位: 1038年 - ?)
ラージャラージャ1世 (在位: ? - 1078年)
アナンタヴァルマン (在位: 1078年 - 1147年)
ビーマ・デーヴァ2世 (在位: 1178年 - 1198年)
ラージャラージャ2世 (在位: 1198年 - 1211年)
ビーマ・デーヴァ3世 (在位: 1211年 - 1238年)
ナラシンハ・デーヴァ1世 (在位: 1238年 - 1264年)
バーヌ・デーヴァ1世 (在位: 1264年 - 1279年)
ナラシンハ・デーヴァ2世 (在位: 1279年 - 1306年)
バーヌ・デーヴァ2世 (在位: 1306年 - 1328年)
ナラシンハ・デーヴァ3世 (在位: 1328年 - 1352年)
バーヌ・デーヴァ3世 (在位: 1352年 - 1378年)
ナラシンハ・デーヴァ4世 (在位: 1378年 - 1424年)
バーヌ・デーヴァ4世 (在位: 1424年 - 1434年)


東ガンガ朝は、その長い歴史の中で、数々の戦いを経験しながらも、オリッサ地方の独立を守り続けた王朝でした。文化的な面でも大きな功績を残し、ジャガンナート寺院やコナーラク寺院などの壮大な寺院を建設しました。

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