東区 (大阪市)

大阪市東区：大坂城と船場を擁した歴史ある区

1879年（明治12年）の郡区町村編制法施行により誕生した大阪市東区は、大阪市の歴史において重要な役割を担った行政区です。現在の大阪市中央区の北部と東部に相当する地域を管轄していました。

東区の概要

東区は、東を大阪環状線、南をおおむね長堀通、安堂寺橋通、順慶町通、西を西横堀川、北を土佐堀川、大川、寝屋川に囲まれた、ほぼ長方形の地域でした。郵便番号は地域によって異なり、東部が540、西部が541となっていました。

東区は、大阪のシンボルである大坂城と、江戸時代から大阪経済の中心地として発展してきた船場の多くをその区域に含んでいました。そのため、歓楽街のイメージが強い南区とは対照的に、東区には社会的地位の高さを象徴する場所という認識が、特に高齢者の間で根強く残っています。東区役所の跡地には現在、大阪産業創造館が建っています。

東区の歴史

東区の歴史は、明治時代初期まで遡ります。1879年の郡区町村編制法施行によって大阪府東区が発足し、1889年の市制施行により大阪市の下部組織となりました。しかし、単なる吸収合併ではなく、東京市や京都市の区と同様に、法人格を有する独自の自治体でした。

東区は独自の「区会」（区議会）を有し、選挙によって議員を選出していました。また、明治23年（1890年）の学事通達により学校設置区となり、高等小学校（後に実業学校）を設置するなど、中等教育機関と財産区の機能を併せ持った、独特の性格を持つ法人区でした。

しかし、1940年（昭和15年）の地方税法改正により、区の独自課税権が奪われ、区立の実業学校である「高等東女学校」（現在の大阪市立東高等学校）の維持管理にも困難が生じました。太平洋戦争下の1943年9月、区会は「区有財産の大阪市への寄付に関する議案」を可決し、同年11月には区議会が解散しました。これにより、法人区としての53年の歴史に幕を閉じました。

その後、1989年（平成元年）2月13日、東区は南区と統合され、中央区となりました。これにより、110年に及ぶ東区の歴史は終焉を迎えました。

東区の人口推移

東区の人口は、時代とともに変遷を遂げてきました。以下は、主要な年の東区人口を示したものです。

1920年：206,121人
1925年：172,411人
1930年：166,241人
1935年：171,263人
1940年：148,580人
1945年：9,875人
1947年：20,322人
1950年：37,976人
1955年：56,523人
1960年：59,704人
1965年：50,728人
1970年：38,564人
1975年：28,953人
1980年：27,109人
1985年：27,585人

太平洋戦争の影響で人口が激減したことがわかります。

東区の区長と著名な出身者

東区には、傍士定治など多くの区長が在任しました。また、東区は多くの著名人を輩出しており、以下はその一部です。

浅原源七（日産自動車社長）
石井好二郎（同志社大学教授）
市田忠義（参議院議員、日本共産党書記局長）
岩田久二雄（昆虫学者、神戸大学名誉教授）
英錦匡男（大相撲力士）
岡田彰布（阪神タイガース及びオリックス・バファローズの選手・監督）
岡田圭右（お笑いタレント、ますだおかだ）
山茶花究（俳優、芸人）
田中徳三（映画監督）
内藤剛志（俳優）
中井一夫（元衆議院議員・神戸市長）
松尾昭典（映画監督）

関連事項

北区 (大阪市)
南区 (大阪市)
西区 (大阪市)
大阪市立東高等学校
大阪市立汎愛高等学校

東区は、大阪市の発展に大きく貢献した歴史ある区でした。その歴史と文化は、現在の中央区に受け継がれています。

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