東急2000系電車

東急2000系電車

東急2000系電車は、1992年に東急電鉄が田園都市線の輸送力増強のために導入した通勤形電車です。ここでは、2000系電車の概要から、改造された9020系電車までを詳しく解説します。

概要

2000系は、9000系をベースに設計され、半蔵門線への乗り入れを考慮した車両です。より良い居住性、運転操作性の向上、省エネルギー化、保守性の改善といった基本理念に加え、「人にやさしい車両」を目指して開発されました。製造は東急車輛製造が担当し、10両編成3本が製造されました。そのうち2003Fは、一時的に東横線で運用された経歴を持ちます。2018年には、5両編成3本に組み替えられ、9020系として大井町線で活躍しています。

車両概説

車体

9000系と同様のステンレス鋼製20m4扉車体を採用。これは設計費の低減や部品の共通化による予備品削減、運転・検修の統一・標準化を目的としています。車体には、東急のコーポレートカラーである赤色のラインが施されています。前面は非常口貫通式で、非常用梯子が設置されています。行先表示器は当初字幕式でしたが、後にフルカラーLED式に交換されました。優等列車として運転される際に点灯していた急行灯は、表示器のフルカラー化の際に撤去されています。

内装

9000系に準じた仕様ですが、冷風拡散方式や網棚の形状などは1000系に準拠しています。客室はロングシートで、各車上り方に貫通扉と優先席が設けられています。田園都市線の混雑緩和のため、天井補助送風機の台数が増やされました。一部車両では、車椅子スペースの設置、スタンションポールの新設、足下スペースの拡大、柄付きモケットの採用、沿線の名所をデザインしたカーテンなど、様々なアイデアが試験的に導入されました。

自動放送装置を搭載し、半蔵門線内でも自動放送を実施。車外スピーカーからは、乗降促進放送を流すことができます。また、側引戸の鴨居部にはLED式の車内案内表示器とドア開閉予告表示灯が設置されました。優先席のつり革はオレンジ色に変更され、付近の壁にもオレンジ色のシートが貼られています。

乗務員室

9000系と大きな変更点はありません。半蔵門線用の誘導無線送受話器が設置されています。乗務員室内はアイボリー色、運転台計器盤はつや消し茶色のカラースキームを採用。主幹制御器はT字形ワンハンドルマスコンで、デッドマン装置を備えています。

走行機器

GTO素子を用いたVVVFインバータ制御装置を採用し、1台の制御器で2両分8個のモーターを制御する1C8M制御方式です。主電動機はTKM-92形かご形三相誘導電動機、集電装置は菱形パンタグラフを搭載しています。補助電源装置は静止形インバータ (SIV)、空気圧縮機 (CP) はレシプロ式低騒音形です。ブレーキ装置は回生ブレーキ併用全電気指令式空気ブレーキで、ATC連動式。台車はボルスタレス台車で、電動台車がTS-1010、付随台車がTS-1011です。

大井町線転属と9020系

2003Fの一部車両は機器更新と内装リニューアル工事を受け、VVVFインバータ制御装置、主電動機、補助電源装置などが換装されました。M1車のパンタグラフはシングルアーム式に変更され、各号車にフリースペースが設置されました。その後、2000系を改造・編成組替えを行い、9020系が誕生しました。9020系は、2019年2月11日に営業運転を開始しました。

運用

10両編成（田園都市線）

田園都市線・半蔵門線直通運用に使用されていましたが、東武線への乗り入れには対応していませんでした。2020系の導入に伴い、2018年10月3日をもって運用を終了しました。

8両編成（東横線）

2003Fのみが一時的に東横線で運用されました。

5両編成（大井町線）

2018年度に大井町線への転用が行われ、各停運用に使用されています。2003Fの改造後、残る2編成も同様の改造を受け、9020系として活躍しています。

今後の予定

9000系とともに、新造車両による置き換えと西武鉄道への譲渡が予定されています。

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