東急3000系電車 (2代)

東急3000系電車

東急3000系電車は、1999年 4月16日に営業運転を開始した東急電鉄の通勤形電車です。目黒線、東京メトロ南北線、都営地下鉄三田線との直通運転に対応するために開発されました。「すべてにやさしく美しい車両」をコンセプトに、当時の最新技術とバリアフリー設備が導入されています。

概要

1990年代後半、東急は目黒線での地下鉄直通運転を計画していました。当初は既存の9000系を改造する予定でしたが、ホームドアの設置や、南北線内の急勾配といった課題が浮上。新型車両を導入する方がコスト面で有利と判断され、3000系が開発されました。

東急で「3000系」を名乗る形式は2代目であるため、「新3000系」と呼ばれることもあります。先代の3000系と同じ形式番号を持つ車両も存在しましたが、現在は改番されています。

車両概説

車体

20m級の片側4扉車体で、軽量ステンレス鋼を使用しています。表面はダルフィニッシュ（つや消し）仕上げで、落ち着いた印象を与えます。側面には、東急のコーポレートカラーである赤を基調に、濃紺と白のラインが配されています。

前頭部は、従来の切妻型から一転して流線型となり、FRP成形品を使用することで、柔らかいイメージを演出しています。非常用貫通扉は運転室から見て右側にオフセット配置され、プラグドアが採用されています。

行先表示器はLED式で、日本語と英語を交互に表示します。一部の行先は、文字数によって英語表記が2行になる場合があります。

内装

客室内は、ローズレッド系をベースとした温かみのあるカラーリングです。化粧板は、線路方向が光沢仕様の白色系、妻面は艶消しの淡いピンク色となっています。座席は片持ち式のロングシートで、1人分の掛け幅は450mm。座面はバケットシートで、赤系と茶系のツートンカラーです。各車両には優先席が設けられており、座席の色が青色になっています。

バリアフリー設備として、車椅子スペースが2・5号車に設置されています。また、客用ドア上部には、千鳥配置の2段LED式旅客案内表示器が設置され、ドアチャイムも採用されました。車内放送装置には、英語放送が追加されています。

乗務員室

乗務員室内は、反射を抑えたグレー系の色調で統一されています。ワンマン運転に対応するため、従来よりも広くなっています。運転台はダークグレー系色で、T字形ワンハンドルマスコンが中央に配置されています。計器盤右側には、車両情報装置（TIS）の表示器が収納されています。

主要機器

制御装置には、IGBT素子を使用したVVVFインバータ制御を採用。トルク制御にはベクトル制御を採用することで、スムーズな加減速を実現しています。主電動機は、定格出力190kWのかご形三相誘導電動機です。

補助電源装置には、IGBT素子を使用した静止形インバータ（SIV）を採用。集電装置には、東急の新型車両として初めてシングルアーム型パンタグラフを搭載しました。

ブレーキ装置は、HRDA（High Response Digital-Analog）方式の電気指令式ブレーキを採用。回生ブレーキを優先して使用し、遅れ込め制御を行います。台車は、軸箱支持が軸梁式のボルスタレス台車です。

冷房装置は、東急の車両として初めて集中式を採用。温風暖房機能を備えています。

導入と改造

3000系は、1999年に8両編成1本が落成し、一時的に東横線で運用されました。その後、2000年から目黒線での本格的な運用を開始。2001年には、定期検査時の予備編成確保のため、3次車1本が増備されました。

2022年8月から2023年3月にかけて、全13編成に対して8両編成化が行われました。組み込みに際しては既存車の改番も行われ、付番方式が5000系以降のものに変更されています。

運用

現在、8両編成13本が元住吉検車区に在籍し、以下の路線で5080系・3020系と共通運用されています。

東急目黒線
東急新横浜線
東京メトロ南北線
都営地下鉄三田線
埼玉高速鉄道埼玉スタジアム線
相鉄本線・相鉄いずみ野線・相鉄新横浜線

臨時で横浜高速鉄道にも入線するほか、検査回送で大井町線や田園都市線も走行します。

今後の展望

2024年5月、東急電鉄は3000系車両のリニューアルを行うことを発表しました。今後、どのような改良が加えられるのか、注目されます。

東急3000系電車 (2代)