松平乗清

松平乗清（まつだいら のりきよ）は、戦国時代の三河国（現在の愛知県東部）で活躍した武将であり、滝脇松平家の初代当主として知られています。

略歴

松平氏は、西三河一帯に勢力を広げた一族であり、乗清もその一員でした。長享元年（1487年）、松平氏の惣領であった松平親忠が額田郡麻生城の天野氏を攻め滅ぼした際、乗清がその後継として麻生城主に配されたと伝えられています。その後、乗清は自身の名字の地である加茂郡松平郷に近い滝脇に移り住み、この地名を家名としました。

しかし、後年になると、松平清康や広忠の相次ぐ死去、そして駿河国の今川氏の勢力拡大により、松平氏の三河における影響力は次第に後退していきました。そのような状況下で、尾張国の織田氏に味方する諸勢力との間で摩擦が生じるようになります（三河忩劇）。弘治2年（1556年）1月、織田氏に味方する大給松平家との戦いにおいて、乗清の孫である正乗が戦死。そのわずか2か月後には、嫡男の乗遠とともに乗清自身も戦死するという悲劇に見舞われました（滝脇合戦）。

乗清の菩提寺である長松院は、乗清とその子、孫の三代が相次いで戦死したことを悼み、その追善のために建立されたと伝えられています。この寺は、滝脇松平家の悲劇を今に伝える貴重な史跡となっています。

参考文献

高木昭作 著「松平氏」、国史大辞典編集委員会 編『国史大辞典』 13巻、吉川弘文館、1992年。ISBN 9784642005135。
松平町誌編纂委員会 編『松平町誌』豊田市教育委員会、1976年。
新編岡崎市史編集員会 編『新編岡崎市史』 2巻、新編岡崎市史編さん委員会、1989年。
林英夫 編『愛知県の地名』平凡社〈日本歴史地名大系〉、1981年。ISBN 9784582490084。
『寛政重修諸家譜』 1巻、続群書類従完成会、1964年。ISBN 9784797102055。
『新編藩翰譜』 1巻、新人物往来社、1977年。ISBN 9784404008152。

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