松平家広 (形原松平家)

松平家広（まつだいら いえひろ）

松平家広は、戦国時代の武将であり、三河国形原城（現在の蒲郡市形原町）を拠点とした形原松平家の4代目当主です。15世紀末頃からこの地に移り住んだとされています。

生涯

松平家広は、3代当主・松平親忠の子として生まれました。幼名は佐太郎、又七郎と称しました。

父・親忠は当初、松平清康に従っていましたが、清康が暗殺された森山崩れ（1535年）や、織田信秀による安祥城攻め（1540年）、小豆坂の戦い（1542年）など、この時期の形原松平家の動向ははっきりとはわかっていません。

家広の妻の実家である水野氏が今川氏から離反し、織田氏に接近すると、家広も主君である松平広忠と同様に妻を離縁したという説が一般的でした。しかし、於丈の方との間に生まれた家忠の誕生時期から考えると、水野氏との関係を維持し、同氏や松平信孝と結んで広忠に反旗を翻していた可能性も考えられます。事実、1547年には今川義元が形原を奥平貞友に与えており、織田方に属して広忠と対立していた家広が、今川氏によって形原を追われた可能性も示唆されています。もっとも、後の記録では弘治年間には家広は形原に復帰し、今川氏に従っています。

桶狭間の戦い後、松平氏の当主となった松平元康（後の徳川家康）が今川氏真から離反すると、家広もこれに従いました。しかし、深溝松平家の松平伊忠・康定との所領争いにおいて不利な裁定が下されたことに不満を抱き、1561年に今川氏に降伏し、再び離反してしまいます。しかし、今度は同じ今川陣営に属した幡豆小笠原氏の小笠原広重らとの所領争いが起こり、同年中に再び元康に帰参するという、目まぐるしい状況でした。

家広の墓所は、愛知県蒲郡市西浦町北馬場の光忠寺にあります。法名は元忠院殿仁誉孝呈道伯です。

系譜

父：松平親忠
母：不詳
正室：於丈の方 - 水野忠政の娘、於大の方の姉
男子：松平家忠
生母不明の子女
男子：松平家房
女子：鳥居元忠正室

参考文献

小川雄 著「戦国・豊臣大名徳川氏と形原松平氏」、戦国史研究会 編『戦国期政治史論集 西国編』岩田書院、2018年2月。ISBN 978-4-86602-013-6。

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