林敏彦

林敏彦

林 敏彦（はやし としひこ、1943年3月4日 - 2017年4月28日）は、日本の著名な経済学者であり、公共政策と経済政策を専門としていました。大阪大学名誉教授、同志社大学特別客員教授、放送大学客員教授といった要職を歴任し、学術界に多大な貢献をしました。

人物

岡山県出身の林氏は、岡山県立朝日高等学校を経て、1966年に京都大学経済学部を卒業。京大在学中は学生運動に参加しましたが、後にその道を離れました。その後、大阪大学大学院経済学研究科修士課程に進学し、熊谷尚夫教授に師事。フルブライト奨学生としてアメリカのスタンフォード大学博士課程へ留学し、数理経済学を専攻してPh.D.（1972年）を取得。スタンフォード大学では、ノーベル経済学賞受賞者であるケネス・アロー教授の指導を受けました。

経歴

林氏は、神戸商科大学（現・兵庫県立大学）経済研究所助手（1967-1971年）からキャリアをスタートさせ、神戸商科大学商経学部講師、助教授（1971-1980年）を経て、蝋山昌一（元大阪大学教授）の招きにより大阪大学経済学部へ移籍。大阪大学経済学部助教授、教授（1980-1994年）、大阪大学大学院国際公共政策研究科教授（1994-2002年、第2代研究科長）、スタンフォード日本センター理事長（2002-2006年）、放送大学教授（2002-2010年）を歴任。2010年4月から2013年3月まで同志社大学大学院総合政策科学研究科教授を務めました。2013年4月からは同志社大学大学院総合政策科学研究科特別客員教授、アジア太平洋研究所（旧・関西社会経済研究所）研究統括（2011年-）として活動しました。

政府委員会座長、大阪ガス監査役（2006-2014年）、公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構・研究調査本部研究統括（2006-2012年）など、数多くの公職も歴任。近年は、情報通信分野における研究、関西地域の自治体への政策提言、阪神・淡路大震災後の経済復興調査に力を注ぎました。

2017年4月28日、急性骨髄性白血病のため兵庫県西宮市の病院で逝去。74歳でした。没後、その功績を称えられ、従四位に叙され、瑞宝中綬章が追贈されました。

著作

林氏は、数多くの著作を通じて経済学の普及と発展に貢献しました。主な著書には以下のようなものがあります。

『需要と供給の世界 ミクロ経済学への招待』（日本評論社、1982年）
『ミクロ経済学』（東洋経済新報社、1984年）
『大いなる経済アメリカ』（日本評論社、1986年）
『大恐慌のアメリカ』（岩波書店、1988年）
『経済学者の手帖』（NTT出版、1992年）
『ハート＆マインド経済学』（有斐閣、1996年）
『続・経済学者の手帖 不況と震災を越えて』（NTT出版、2000年）
『経済政策1 現代政策分析』（放送大学教育振興会、2002年）
『経済学入門 新訂』（放送大学教育振興会、2004年）
The Political Economy of Japan（放送大学教育振興会、2010年）
『大災害の経済学』（PHP新書、2011年）

また、共編著や翻訳書も多数あります。

叙位・叙勲

従四位
* 瑞宝中綬章

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