柴田博之

1976年 7月8日に滋賀県栗東市に生まれた柴田博之は、元プロ野球選手として、主に外野手として活躍しました。俊足と巧みなバッティングで知られ、現役引退後は野球指導者として新たな道を歩んでいます。

アマチュア時代

小学2年生で野球との出会いを果たした柴田氏は、地元滋賀県の栗東高等学校へ進学します。高校時代には3年生の春に県大会で優勝を果たし、夏の大会でもベスト4に進出するなど、中心選手としてチームを牽引しました。卒業後は東北福祉大学に進み、ここでも野球部で目覚ましい活躍を見せます。4年生の春季リーグ戦では首位打者、盗塁王、最優秀選手といった主要タイトルを独占し、チームの大学選手権ベスト8進出に貢献。さらに同年の秋には明治神宮大会で準優勝を果たします。大学3年生の秋季リーグから3季連続でベストナインに選出されるなど、アマチュア球界屈指の外野手として注目を集めました。これらの実績が評価され、1998年のドラフト会議で西武ライオンズから4位指名を受け、プロ野球の世界へと飛び込みました。

プロ野球時代

プロ入り1年目の1999年、柴田氏は早速一軍の舞台を踏みます。中堅手として5試合に先発出場を含む26試合に出場し、持ち前の俊足を活かして3つの盗塁を記録しました。転機となったのは2001年シーズンです。この年、出場機会を大幅に増やし、113試合に出場してレギュラーの座を獲得します。規定打席にはわずかに届かなかったものの、20盗塁、そしてリーグトップとなる8本の三塁打を放つなど、そのスピードと長打力が光る活躍を見せました。しかし、この年のオフに左肘の靭帯損傷が判明し、左手首からの靭帯移植手術、いわゆるトミー・ジョン手術を受けることになります。この大手術とその後のリハビリには約8ヶ月を要し、特に外野からの強い送球が困難になるなど、守備面に大きな影響を残しました。このため、術後の数年間は外野手としての先発出場機会が減少することになります。

怪我からの復帰を目指し、2003年には開幕戦で6番・指名打者（DH）として先発出場を果たします。DHのレギュラー定着には至らなかったものの、規定打席未満ながら打率3割をマークし、18盗塁を記録するなど、打撃と走塁で存在感を示しました。2004年には新たに伊東勤監督が就任し、柴田氏を1番・DHで起用する方針が取られますが、レギュラーとしては定着できませんでした。それでもこの年は自己最多となる22盗塁を成功させ、俊足は健在であることを証明しました。しかし、その後は出場機会が減少し、2005年はシーズンで僅か1安打に終わり、翌2006年は一度も一軍に出場できませんでした。2007年はわずか7試合の出場にとどまり、同年10月27日に球団から戦力外通告を受けます。

現役続行を強く希望した柴田氏は、2007年オフの12球団合同トライアウトに参加しましたが、残念ながら獲得のオファーはなく、プロ野球選手としての現役生活にピリオドを打ちました。この戦力外通告から引退までの過程は、TBSのドキュメンタリー番組『プロ野球戦力外通告・クビを宣告された男達』で取り上げられ、大きな反響を呼びました。

引退後の活動

プロ野球引退後、柴田氏は指導者としてセカンドキャリアをスタートさせます。2008年5月には東京都東大和市で「トムス野球塾」を開校し、野球指導を開始しました。この野球塾では、倉庫を改装した室内練習場を活用し、小中学生だけでなく、一般男性、さらには幼児や女性向けのクラスも開設するなど、幅広い層に対して野球を教えました。同年12月には、TBSのドキュメンタリー番組『バース・デイ』でもその後の活動が紹介されました。2012年3月末をもってトムス野球塾を退社後、同年5月からは西多摩郡瑞穂町に移り、自身の野球塾「やきゅうま」を新たに開校し、引き続き熱心な指導を続けています。また、2019年 12月に学生野球資格回復研修を受講し、2020年 2月7日付で日本学生野球協会から適性認定を受けたことで、高校生や大学生といった学生野球の選手たちを指導する資格も得ています。

人物・エピソード

柴田氏は、日本の競馬界に名を馳せる一家の出身です。父・利秋氏は元日本中央競馬会（JRA）の騎手であり、伯父には元調教師の柴田政見氏、叔父にもダービージョッキーとして知られる元調教師の柴田政人氏を持ちます。さらに、現役騎手の柴田善臣氏は従兄弟にあたり、その息子である柴田健登厩務員やオートレース選手となった柴田陸樹氏も遠戚という、まさに競馬界と縁の深い家系で育ちました。幼い頃は、父の背中を追って騎手を目指していた時期もありましたが、体格が騎手向きではなくなったこと（身長が伸びたこと）を機に、野球に本格的に打ち込むようになります。競馬一家という出自と、自身の最大の武器である俊足が相まって、現役時代には競走馬になぞらえた「シバタオー」というニックネームでファンや関係者から親しまれました。

社会貢献活動

埼玉西武ライオンズの球団OBとして、地域振興活動や社会貢献事業にも積極的に協力しています。埼玉県内の小中学校や高等学校を訪問し、自身の経験に基づいた講演活動や野球指導を行っています。特に小学校では、「夢を叶えるために大切なこと」といったテーマで児童たちに語りかけ、野球を通して学んだことや夢を追うことの大切さを伝えています。2008年 12月には所沢市立伸栄小学校、2009年 12月には熊谷市立妻沼小学校、2010年2月には所沢市立北中小学校を訪問するなど、精力的に活動を行っています。

記録

初出場: 1999年4月4日、対福岡ダイエーホークス2回戦（西武ドーム）
初盗塁: 1999年5月1日、対福岡ダイエーホークス4回戦（福岡ドーム）
初先発出場: 1999年5月5日、対大阪近鉄バファローズ5回戦（大阪ドーム）
初安打: 同上（対大阪近鉄バファローズ5回戦）
* 初本塁打・初打点: 2001年4月14日、対千葉ロッテマリーンズ4回戦（千葉マリンスタジアム）

背番号: 12 (1999年 - 2002年), 2 (2003年 - 2007年)

もう一度検索