柴野為亥知

柴野為亥知（しばの ためいち）は、1896年1月11日に生まれ、1959年に没した大日本帝国陸軍の軍人です。最終階級は陸軍大佐で、陸軍士官候補生29期・歩兵科出身です。

経歴

石川県金沢市小立野の加賀藩士の家に生まれました。陸軍幼年学校、陸軍士官学校を経て、1917年12月25日に歩兵少尉に任官し、金沢城内に駐屯する歩兵第7連隊に配属されます。その後、1921年4月1日付で歩兵中尉、1926年8月6日付で歩兵大尉に進級しました。

1927年6月3日付で歩兵第7連隊中隊長、1930年8月1日付で歩兵第7連隊大隊副官（参謀本部附勤務）を歴任。1933年8月1日付で台湾軍副官、1934年8月1日付で歩兵少佐に進級と同時に松井石根大将副官に任命されました。翌年には参謀本部附などを経て、中佐となり陸軍省報道部兼内閣情報部主任情報官となります。以降4年間、中央省庁で黒田千吉郎中尉（金沢出身）を片腕として情報活動に手腕を発揮しました。

情報官時代には、李香蘭（後の参議院議員・山口淑子）を売り出し、日中友好親善映画である「白蘭の歌」や「支那の夜」などの映画を企画し、東宝に製作させて大ヒットさせました。また、作詞作曲の才能も持ち、「遂げよ聖戦」「大建設の歌」「徐州攻略の歌」「従軍記者行進曲」「大陸の花嫁」など30曲以上の軍歌を作詞・作曲しました。これらの楽曲は東海林太郎、上原敬、伊藤久男らによって歌われ、レコードも発売され、一世を風靡しました。

1943年8月には歩兵第69連隊長に就任し、1944年1月11日にはトラック島守備隊長に任命されます。戦局が悪化する中、部下将兵の生命保全に尽力し、荒野や荒地を開墾して芋や野菜を栽培し、ほとんど全員が無事に帰還しました。1945年12月17日に離島し、12月27日に浦賀に帰着しました。

戦後

戦後、柴野の陸軍士官学校同期生である磯矢伍郎（元中将）が巣鴨プリズンを出所後、収監中の同期生である額田坦（元中将）と稲田正純（元中将）宛てに送った1949年11月17日付の葉書に、当時の同期生の消息が記されています。その葉書には、「…清水の土地建物は廃業広告屋さんに、柴野は「マネキン」の衣裳貸（？）で一応やってるらしいがまだあへぬ…」と書かれていました。

親族

SF作家の柴野拓美は息子です。

参考文献

福川秀樹『日本陸軍将官辞典』芙蓉書房出版、2001年。
外山操編『陸海軍将官人事総覧 陸軍篇』芙蓉書房出版、1981年。
* 個人所蔵「磯矢伍郎⇒額田坦・稲田正純あて葉書」、1949年。

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