栗原古城

栗原古城

栗原古城（くりばら こじょう、1882年9月17日 - 1969年6月17日）は、日本の英文学者、評論家、翻訳家として知られています。本名は栗原元吉（くりばら もときち）です。

生涯

1882年、埼玉県北足立郡大宮町（現在の大宮市）で生まれました。東京高等師範学校附属中学校（現在の筑波大学附属中学校・高等学校）では平田禿木に師事し、上田敏とも親交を深めました。第一高等学校在学中の1902年には、雑誌『明星』にイワン・ツルゲーネフの短編小説「世のをはり」の翻訳を発表し、翻訳家としての活動をスタートさせます。また、『明星』を通じて、当時日本ではまだ知られていなかったオスカー・ワイルドやウィリアム・バトラー・イェイツなどの作品を紹介しました。

1903年、東京帝国大学文科大学英文学科に入学し、夏目漱石と上田敏の指導を受けました。1906年には、漱石から末松謙澄の著書『日本の面影』（原題は『Rising Sun』）の翻訳を依頼され、森田草平とともに翻訳作業を担当しました。

大学卒業後は、東京毎日新聞に勤務し、文芸評論を『芸苑』や『帝国文学』などの雑誌に発表しました。1921年からは東京女子大学で講師を務め、その後、実践女子専門学校、東洋大学を経て、1952年に立正大学講師となり、1957年からは教授として教鞭を執りました。

人物

栗原古城は、夏目漱石の才能を高く評価しており、漱石の著作『文学評論』を「日本人の頭脳が生んだ特色ある名編」と絶賛しました。また、石川啄木とも親交があり、啄木の長編小説『鳥影』を東京毎日新聞に連載できるよう尽力しました。

大正時代には、英米を中心としたヨーロッパ思想の紹介に力を注ぎ、トーマス・カーライル、ラルフ・ワルド・エマーソンなどの翻訳を手がけました。特にジョン・ラスキンの翻訳においては、その質と量において当時の第一人者として評価されています。文学、書画を趣味としていました。

著書

『西洋武士道譚』（北星堂書店、1915年）
『神人と魔人』（紫雨出版社、1919年）
『戦闘及び貧の崇拝』（予章堂、1920年）

翻訳

『偉人論講話』（ラルフ・ワルド・エマーソン、東亜堂書房、1913年）
『死後は如何』（メーテルリンク、玄黄社、1916年）
『衣装の哲学』（カーライル、岩波書店、1917年）
「ラスキン叢書」全5巻（玄黄社）
『永久の歓び』 1917
『塵の倫理』 1917
『塵の倫理』 1918
『胡麻と百合』 1918
『時と潮』 1918
『モンテーニュ随筆集』（ミシェル・ド・モンテーニュ、国民文庫刊行会、1927年 - 1928年）
『ヘンリー・ライクロフトの手記』（ジョージ・ギッシング、角川書店、1955年）

参考文献

『帝国人事大鑑 昭和7年版』（帝国日日通信社、1932年）
『古城栗原元吉の足跡』（鏡味国彦、文化書房博文社、1993年）

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