根岸駅 (神奈川県)

根岸駅：工業と住宅が交差する横浜の鉄道拠点

横浜市磯子区東町に位置する根岸駅は、JR東日本根岸線、JR貨物、そして神奈川臨海鉄道本牧線の3線が乗り入れる重要な鉄道駅です。JR根岸線の駅番号はJK 07。只見線にも同名の駅が存在するため、当駅発着の乗車券には「（岸）根岸」と表記されるのが一般的です（特定都区市内制度適用を除く）。

駅の歴史：旧地名から名付けられた駅

駅名は、東町の旧地名である中根岸町に由来しています。1964年5月19日、国鉄根岸線桜木町～磯子間の開通と同時に開業。同年6月1日には高島線全通に伴い貨物取扱いを開始しました。その後、1969年10月1日には神奈川臨海鉄道本牧線が本牧埠頭駅まで延伸、1981年には駅前に広場が完成するなど、段階的に整備が進められました。国鉄分割民営化（1987年4月1日）を経て、JR東日本とJR貨物の駅となりました。1993年には自動改札機、2001年にはSuicaが導入され、利便性が向上しています。2011年には東日本大震災の影響で東北本線・常磐線が不通となった際、当駅を発着点とした燃料輸送が行われたことも特筆すべき出来事です。近年では2021年12月9日にみどりの窓口が営業を終了しています。

駅の構造：島式ホームと大規模な貨物施設

根岸駅は地上駅で、島式ホーム1面2線を有します。旅客ホームに加え、JR貨物の貨物列車が使用する着発線2本（下1・2番線）、専用線との授受線5本（授受3～7番線）が南側に設置されています。本牧線の到着線・出発線は駅構内の東側に位置しています。さらに、ENEOS根岸製油所内には8～27番線までの留置線が多数存在します。駅舎は構内北側にあり、ホームとは跨線橋で連絡しています。桜木町駅が管理する直営駅で、自動券売機、自動改札機、自動精算機が設置されています。駅構内にはNewDaysとレッツキヨスクがあり、乗客の利便性を高めています。

貨物取扱：日本最大級の石油輸送拠点

根岸駅は、日本最大級の製油所であるENEOS根岸製油所への専用線を有し、石油製品の輸送において国内でも有数の役割を担っています。2008年度には車扱貨物取扱量日本一を記録するなど、その規模は非常に大きいです。駅南側にはENEOS根岸製油所があり、専用線34本、最大375両の貨車を収容可能、22か所の積込口を備えた荷役線2本（23・24番線）が整備されています。タンク車の入換作業は日新の協力会社である日進産業が行い、NDD56形機関車を使用しています。専用線以外の構内入換作業は神奈川臨海鉄道が行っています。

主要な発送先は、中央本線（八王子駅、竜王駅）、篠ノ井線（南松本駅）、しなの鉄道線（坂城駅）、高崎線（倉賀野駅）、東北本線（宇都宮貨物ターミナル駅）、東海道貨物線（川崎貨物駅）、神奈川臨海鉄道浮島線（浮島町駅）など多岐に渡り、ガソリン、軽油、A重油、灯油といった石油製品が輸送されています。高速貨物列車も運行され、EH200形やEF210形電気機関車が使用されています。石油列車は最大28両、コンテナ列車は最大20両の編成となります。

利用状況と駅周辺：変化する街並みの様子

2023年度の1日平均乗車人員は20,001人です。駅周辺は、海側に工業地帯、山側に住宅地が広がっています。駅前広場にはバスが発着し、マンションが建ち並んでいますが、バブル経済崩壊前までは空き地が多かったようです。横浜市営バスが駅前から運行されています。

将来構想：実現しなかった環状鉄道計画

2000年の運輸政策審議会答申では、2015年までに横浜環状鉄道の整備に着手することが盛り込まれていましたが、実際に建設されたのは日吉～中山間のみ（グリーンライン）です。根岸駅は、その計画ルート上に含まれていました。

隣の駅

JR東日本根岸線：山手駅 - 根岸駅 - 磯子駅
神奈川臨海鉄道本牧線：根岸駅 - 横浜本牧駅

根岸駅は、歴史と現代が交差する、横浜市磯子区の重要な鉄道拠点であり続けています。

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