桜島横山町

桜島横山町は、鹿児島県鹿児島市に属する町で、活火山である桜島の西側に位置しています。かつては旧大隅国大隅郡に属し、変遷を経て現在の形に至ります。郵便番号は891-1419で、2020年 4月1日時点での人口は288人、世帯数は135世帯となっています。

地理

桜島横山町は、桜島の西麓に広がり、北は桜島小池町、南は大正袴腰溶岩を挟んで桜島赤水町と隣接しています。西側は鹿児島湾に面し、桜島の玄関口として重要な役割を果たしています。町の中央部には桜島港があり、鹿児島市街と桜島を結ぶ桜島フェリーが発着しています。また、町域の北端には城山自然公園が位置しています。この地域は、南岳火口および昭和火口から半径2キロメートル以内であるため、災害対策基本法に基づき、警戒区域に指定されています。

自然

大正大噴火で流出した溶岩によって形成された大正袴腰溶岩は、現在の町域南部を構成しています。標高200メートル付近にはクロマツやイタドリの群落が見られ、国道224号沿いには様々な植物が生息しています。また、袴腰台地は1万8千年前の古い時代に形成されたとされ、地質学的にも貴重な場所です。

自然保護

桜島横山町は霧島錦江湾国立公園の区域に指定されており、特別区域特別保護地区、第1種・第3種特別地域、海域公園地区、普通地域から構成されています。この地域は、豊かな自然と生態系を保護するために重要な役割を担っています。

山岳・島嶼

町内には標高71.5メートルの城山や、沖小島、神瀬といった島嶼があります。沖小島は、薩英戦争時に砲台が置かれた歴史的な場所であり、神瀬は砂礫でできた小さな島です。

歴史

中世

横山という地名は鎌倉時代から見られ、島津忠久が任命した東条安房が居住したことが横山氏の始まりとされています。南北朝時代には上山氏がこの地に進出し、集落の背後にある城山には長門城が築かれました。

近世

江戸時代には、横山村は桜島郷の中心地として栄え、地頭仮屋が置かれました。多くの郷士が居住し、麓が形成されました。また、浦町も置かれ、港町としても機能していました。伊能忠敬の記録によれば、小池も横山村に含まれていました。安永大噴火の際には、住民は鹿児島城下へ避難し、その後、砲台や遠見番所が建設されました。薩英戦争時には、横山・袴腰に兵が配備され、イギリス艦隊との戦闘に備えました。

明治時代

1882年に桜洲小学校が創立され、1887年には警察官駐在所が設置されました。同年には大隅郡が南北に分割され、横山村は北大隅郡に所属することになりました。1889年の町村制施行により、周辺の村と合併し、西桜島村が成立、横山村は西桜島村の大字「横山」となりました。村役場は横山に置かれ、1893年には郵便局も設置されました。1897年には北大隅郡が鹿児島郡に統合されました。

大正大噴火

1914年 1月12日に発生した桜島の大正大噴火は、横山に甚大な被害をもたらしました。噴火の兆候は事前に確認されていましたが、適切な対策が取られず、横山の集落は溶岩に埋没しました。当時の横山には村役場、郵便局、小学校がありましたが、これらも全て埋没し、住民は避難を余儀なくされました。村役場は一時的に鹿児島郡役所に移され、その後、別の場所に移転しました。桜洲小学校も小池に移転し、横山郵便局は廃止されました。

大正大噴火以降

第二次世界大戦中には、城山台地付近に高射砲基地、袴腰に魚雷基地が設置され、この地域は要塞化されました。終戦後は、アメリカ軍の支配下に置かれました。1944年には自動車航送が開始され、桜島フェリーの前身となる船舶が運行を開始しました。1951年には気象台の観測所が設置され、1955年には京都大学の地震観測所が設置されました。1973年に西桜島村は町制施行し、桜島町となりました。2004年には桜島町が鹿児島市に編入され、横山町は「桜島横山町」となりました。

文化財

市指定文化財

桜島横山町には、方崎庚申塔や沖小島砲台跡など、市指定の文化財があります。

施設

公共施設

桜島フェリーターミナル、鹿児島市船舶局、桜島観光案内所、桜島港駐車場、桜島公民館、桜島図書館、桜島総合体育館などがあります。

教育・研究機関

京都大学防災研究所附属火山活動研究センター桜島火山観測所が設置されています。

その他

月読神社、厳島神社、御嶽蔵王権現社、梅崎春生文学碑などがあります。

産業

2015年の国勢調査によると、桜島横山町の就業者の産業別構成は、医療・福祉業、卸売業・小売業、建設業、宿泊業・飲食サービス業、サービス業が多いです。2014年の経済センサスでは、飲食料品小売業、道路旅客運送業、その他の小売業、水産養殖業、総合工事業などが事業所数が多い業種となっています。

商業

終戦後、袴腰の月読神社参道沿いに土産物店が立ち並びましたが、火災をきっかけに観光客の動向が変化しました。1979年にはエーコープ桜島店が開店し、2000年にはレインボー桜島や桜島マグマ温泉、道の駅桜島がオープンしました。ローソン桜島店やファミリーマート桜島店などのコンビニエンスストアも出店しましたが、ローソンは閉店しています。

教育

研究機関

京都大学防災研究所附属火山活動研究センター桜島火山観測所があり、桜島をはじめとする火山群の観測を行っています。

学校

桜島横山町には中学校は設置されておらず、桜島中学校が学区となっています。かつては桜洲小学校がありましたが、大正大噴火で埋没し、現在は小池町に移転しています。2026年度には桜島溶岩グラウンド敷地内に義務教育学校が開校予定です。

交通

港湾

桜島港があり、桜島フェリーが発着しています。桜島港は、1934年に袴腰港として設置され、1971年に桜島港に改称されました。桜島フェリーは24時間運航しており、年間約520万人の乗客と153万台の車両を輸送しています。これは日本国内で3番目に多い乗降人員数です。

道路

国道224号、鹿児島県道26号桜島港黒神線が町内を通り、道の駅桜島が設置されています。

路線バス

鹿児島市交通局や鹿児島交通のバスが運行しています。

桜島横山町は、活火山の脅威と美しい自然が共存する場所であり、歴史と文化、そして活発な産業が息づく魅力的な町です。

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