桜島西道町

概要

桜島西道町は、鹿児島県鹿児島市の北部に位置する町です。かつては大隅国に属し、西道村として歴史を刻んできました。現在の人口は約166人、105世帯が暮らしています（2020年4月1日現在）。

地理

桜島の北部に位置し、金床川、西元川、西道川などの河川が北へと流れています。東には桜島松浦町、西には桜島藤野町が隣接し、北は鹿児島湾に面しています。海岸沿いには鹿児島県道26号桜島港黒神線が通っており、地域を東西に結んでいます。

この地域は、主に温州みかんなどの果樹栽培が盛んです。特に北岳の斜面を流れる金床川流域には、砂防ダムが建設されており、土砂災害から地域を守る役割を果たしています。

自然公園・自然保護地区

桜島西道町の一部は、霧島錦江湾国立公園の一部として指定されています。特に桜島山頂は特別保護地区に、桜島北斜面は第1種特別地域に、桜島北及び東斜面は第2種特別地域に、桜島北及び東麓は第3種特別地域に指定されており、豊かな自然環境が保護されています。

歴史

中世

「西道」という地名は、室町時代から確認されており、古くは大隅国向島の一部でした。1439年には「向島西堂之村」として記録に登場しています。1537年には、島津勝久によって本田董親に「さいたう」などが与えられた記録が残っています。

近代

江戸時代には、西道村は薩摩藩の製蝋所が設置され、藩の産業を支える役割も担っていました。また、西道と藤野では、スイカが桜島大根の前作として栽培されていました。1668年には隣村である藤野村との間で境界争いが起こり、最終的には西道村の主張が認められました。1887年には、大隅郡が南北に分割され、西道村は北大隅郡の所属となりました。

町村制施行後

1889年の町村制施行に伴い、西道村を含む周辺の村が合併して西桜島村が誕生し、西道村は大字「西道」となりました。1897年には北大隅郡が鹿児島郡に統合され、西桜島村も鹿児島郡の一部となりました。

1914年には桜島の大正大噴火が発生し、西道の住民は避難を余儀なくされました。噴石や火砕流による火災で多くの家屋が焼失するという甚大な被害を受けました。噴火後、一時的に西道に仮の村役場が置かれましたが、後に藤野に移転しました。

その後、昭和10年代後半には西桜島村森林組合が設立されました。第二次世界大戦中にはアメリカ軍の空襲によって被害を受けました。1973年には西桜島村が町制を施行し、桜島町となり、大字として西道が引き継がれました。

2004年には桜島町が鹿児島市に編入合併し、大字西道は廃止され、新たに「桜島西道町」として鹿児島市の一部となりました。

人口

1995年以降の国勢調査によると、人口は減少傾向にあります。詳細は以下の表の通りです。

施設

公共

西道集会施設

寺社

三柱神社：月読命などを祀る神社で、村社として地域の人々に親しまれています。

教育

桜島西道町に住む児童生徒は、鹿児島市立の小学校、中学校に通学します。

交通

道路

鹿児島県道26号桜島港黒神線：地域を東西に結ぶ主要地方道です。

路線バス

鹿児島市交通局：60番桜島線が利用可能です。

港湾

桜島港：西道地区には避難港（16番）があります。

参考文献

角川日本地名大辞典編纂委員会, 『角川日本地名大辞典 ４６ 鹿児島県』
芳即正、五味克夫, 『日本歴史地名大系47巻 鹿児島県の地名』
桜島町郷土誌編さん委員会, 『桜島町郷土誌』
* 中央防災会議災害教訓の継承に関する専門調査会, 『災害教訓の継承に関する専門調査会報告書 1914 桜島噴火』

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