森静子

森靜子（もり しずこ）

森靜子（本名：吉川靜栄、旧姓：木村靜子、1909年12月25日 - 2004年1月31日）は、日本の女優であり、かつては子役としても活動していました。新派の俳優を父に持ち、幼い頃から演劇の世界に足を踏み入れました。

生涯

東京府東京市浅草区（現在の東京都台東区浅草）で生まれた森靜子は、1915年に父の勧めで新派の舞台に立ち、子役としてキャリアをスタートさせました。1917年には小学校に入学すると同時に、日活向島撮影所で映画に出演し、早くもその才能を発揮しました。

1923年、森靜子はマキノ・プロダクションの前身である牧野教育映画製作所が製作した映画『貧者の一燈』に主演し、映画女優としての道を歩み始めます。その後、マキノ[[映画製作所]]に専属俳優として所属し、『村長の息子』や『加賀の若殿』などに出演。特に『加賀の若殿』では、当時まだ脇役だった阪東妻三郎と共演しました。また、『恋地獄』や『魔の池』では相手役を務め、金森万象監督の作品では「清純派女優」として人気を博しました。

1924年には帝国キネマに引き抜かれ移籍。しかし、1925年の帝国キネマ分裂の際には東邦映画製作所に移り、その後、阪東妻三郎プロダクション（阪妻プロ）に入社。『異人娘と武士』や『雄呂血』などの作品で活躍しました。阪妻プロでは、阪東妻三郎主演作品の多くに出演し、その存在感を示しました。

1930年、阪東妻三郎の撮影所が松竹キネマに譲渡されたことで、森靜子も松竹キネマに移籍。その後、帝国キネマ演芸太秦撮影所、新興キネマへと移籍し、現代劇にも挑戦しました。

1937年、俳優の浅香新八郎と結婚。芸名はそのままに活動を続けましたが、1940年に夫と共に新興キネマを退社し、劇団「新生国民座」を設立しました。1944年に浅香新八郎が亡くなると、森靜子は引退。第二次世界大戦後、1946年に吉川秀信と再婚しました。

2004年1月31日、老衰のため94歳で逝去。孫には、タカラベルモントの代表取締役会長兼社長である吉川秀隆がいます。

人物・エピソード

マキノ雅弘との間には、いくつかのエピソードが残されています。マキノ雅弘が森靜子に初めて出会ったのは、彼がまだ学生だった頃。叔父の家で詩集を読んでいたところ、詩集に出てくるような美しい女性が通り過ぎるのを目撃し、それが森靜子だったそうです。その後、森靜子のために蝉を捕まえようと木に登り怪我をしたというエピソードもあります。

また、帝国キネマへの引き抜き騒動の際には、マキノ省三から森靜子の保護を頼まれたマキノ雅弘が、やくざから彼女を守ろうとして大怪我を負うという事件も起こりました。戦後、森靜子はマキノ雅弘と再会し、「マキノ同窓会」の会員として交流を深めました。

主なフィルモグラフィ

• - 『春の海』(1917年)
• - 『貧者の一燈』(1923年)
• - 『村長の息子』(1923年)
• - 『加賀の若殿』(1923年)
• - 『恋地獄』(1923年)
• - 『魔の池』(1923年)
• - 『咽び泣く魂』(1923年)
• - 『悩める子羊』(1923年)
• - 『祇園情話 蕾のまゝ』(1923年)
• - 『快傑鷹』(1924年)
• - 『討たるゝ者』(1924年)
• - 『恋とはなりぬ』(1924年)
• - 『陰より陽へ』(1924年)
• - 『異人娘と武士』(1925年)
• - 『雄呂血』(1925年)
• - 『魔保露詩』(1925年)
• - 『蛇眼』(1926年)
• - 『狂へる人形師』(1926年)
• - 『砂絵呪縛』第一篇 (1927年)
• - 『砂絵呪縛』第二篇・第三篇 (1927年)
• - 『鼠小僧次郎吉』(1927年)
• - 『からす組』前篇・後篇 (1930年)
• - 『辰巳の小万』(1930年)
• - 『南国太平記』前篇・後篇 (1931年)
• - 『堀江六人斬 妻吉物語』(1931年)
• - 『悲しみの天使』(1932年)
• - 『鏡山競艶録』(1933年)
• - 『青春街』(1933年)
• - 『祇園祭』(1934年)
• - 『前科もの二人女』(1934年)
• - 『東郷盃』(1934年)
• - 『太閤記 藤吉郎出世飛躍の巻』(1936年)
• - 『鏡山競艶録』(1938年)
• - 『晴小袖』(1940年)

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