森麻季 (歌手)

森麻季（もり まき）は、1970年8月19日生まれの日本の声楽家（ソプラノ歌手）です。クラシック音楽、特にオペラや歌曲の分野で国際的に活躍しています。そのレパートリーは古典から現代音楽まで幅広く、オペラ歌手としての評価も非常に高いです。

生い立ちと教育

東京都出身の森麻季は、幼少期からピアノを習い、音楽に親しんでいました。国立音楽大学附属小学校、中学校、高等学校を経て、東京藝術大学音楽学部声楽科に進学。同大学院独唱専攻を修了しました。在学中には、その才能が認められ安宅賞を受賞しました。

さらに、文化庁オペラ研修所を修了後、五島記念文化財団オペラ新人賞を受賞。文化庁派遣芸術家在外研修員として、イタリア・ミラノのヴェルディ国立音楽院に留学し研鑽を積みました。その後、ドイツ・ミュンヘン国立音楽大学大学院も修了しています。

国際的な活躍と評価

森麻季は、数々の国際的なコンクールで優勝や入賞を果たしています。第26回イタリア声楽コンコルソでは優勝とミラノ大賞を、モーツァルトコンクールでも優勝を飾りました。1996年には、日本音楽コンクールで第2位入賞（1位は森川栄子、同じ2位に浦野智行）を果たし、木下賞も受賞。1998年には、カマイオーレ国際コンクールでオペラ部門と歌曲部門でダブル優勝という快挙を成し遂げました。また、ドイツ歌曲最優秀歌唱者に贈られるベーレンライター賞と観客賞も受賞しています。

さらに、アルカモ国際オペラ・コンクール第4位、プラシド・ドミンゴ世界オペラ・コンクール(Operalia)第3位入賞など、数々の賞を受賞。日本人として初めてワシントン・ナショナル・オペラに出演し、ワシントン・アワードも受賞しました。2000年度には出光音楽賞、2001年度にはホテルオークラ音楽賞を受賞しています。

オペラとコンサート活動

森麻季は、ワシントン・ナショナル・オペラでの『後宮からの逃走』ブロンデ役を皮切りに、『リゴレット』、『パルジファル』、『ホフマン物語』、『こうもり』、『ウェルテル』など数多くのオペラに出演。プラシド・ドミンゴ、エレーナ・オブラスツォワ、フレデリカ・フォン・シュターデ、ロベルト・アラーニャなど、名だたる歌手たちと共演しています。

また、小澤征爾、チョン・ミョンフン、ウラディーミル・アシュケナージ、ガリー・ベルティーニ、ファビオ・ルイージ、エリアフ・インバルなど、著名な指揮者たちとも共演。ウィーン・フィル、ミュンヘン・フィルなど、世界的なオーケストラとの共演も多数行っています。

2002年には、FIFAワールドカップ日韓共同開催を記念した3大テノールコンサートに出演。2004年にはアテネオリンピック結団式やMLBプレシーズン・ゲームで国歌斉唱を務めました。2007年には、ドレスデン国立歌劇場で『ばらの騎士』のゾフィー役でデビュー。同歌劇場の日本公演やドレスデン歌劇場室内管弦楽団の日本公演にもソリストとして参加しました。

2008年には、パーヴォ・ヤルヴィ指揮のフランクフルト交響楽団日本公演、ドレスデン聖十字架合唱団日本公演のソリストとして全国ツアーを実施。2009年には、錦織健プロデュースによるオペラやエディンバラ音楽祭に出演。2010年には、トリノ王立歌劇場に『ラ・ボエーム』のムゼッタ役で出演するなど、国際的な舞台で活躍しています。

ディスコグラフィー

森麻季は、数多くのアルバムをリリースしています。ソロアルバムとしては、『あなたがそばにいたら 〜Bist du bei mir〜』（2004年）、『ピエ・イエス 〜祈りを込めて』（2007年）、『THE BEST 3 森麻季』（2008年）、『麗しき瞳よ 〜ヘンデル・アリア集』（2009年）、『アヴェ・マリア』（2011年）、『4つの最後の歌』（2011年）、『日本の歌~花は咲く』（2012年）、『愛しい友よ 〜イタリア・オペラ・アリア集』（2014年）、『翼をください~ベスト・ソングス』（2015年）、『春の声』（2016年）、『至福の時～歌の翼に』（2018年）などがあります。また、マーラーの交響曲第4番、ベートーヴェンの交響曲第9番など、クラシック音楽の主要な作品にも参加しています。

その他

2005年にイタリア人作曲家と結婚しましたが、後に離婚。国際結婚の難しさを語っています。

森麻季は、その美しい歌声と卓越した音楽性で、国内外の多くのファンを魅了し続けています。今後の活躍も大いに期待される、日本を代表するソプラノ歌手の一人です。

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