楊溥 (明)

楊溥（よう ふ、1372年 - 1446年）は、明代初期に活躍した政治家で、字を弘済と名乗りました。彼は荊州府石首県の出身で、1400年に進士の試験に合格し、同じ年に進士となった楊栄と共に翰林院編修という役職に就きました。

永楽帝が即位すると、楊溥は皇太子朱高熾（後の洪熙帝）に仕えることになります。しかし、1414年に皇太子が永楽帝の怒りを買った際に連座して投獄されてしまいます。その後、洪熙帝が即位すると、楊溥は復権を果たし、再び政治の世界に戻りました。

彼はその後も順調に昇進を重ね、1434年には礼部尚書に任命されました。さらに1444年からは内閣大学士（首輔）という要職に就き、その生涯を終えるまで明朝の中枢で活躍しました。楊溥は同時代に内閣大学士を務めた楊栄、楊士奇と共に「三楊」と称され、その卓越した政治手腕で明朝を支えました。この「三楊」という呼称は、彼らの生前から使われていました。

また、楊溥は文学においても重要な足跡を残しました。彼は台閣体と呼ばれる文体の創始者として知られています。この文体は、明代の公文書や公式な文章に大きな影響を与え、彼の文学的な才能を今日に伝えています。楊溥は1446年7月に病没し、太師を追贈され、文定という諡号が贈られました。彼の功績は、明の歴史において非常に重要なものとして記録されています。

参考文献には、三田村泰助著『中国文明の歴史 8 明帝国と倭寇』（中公文庫、2000年）の214ページから216ページが挙げられており、彼の業績についてより詳しい情報が得られます。

このように、楊溥は政治家として、また文学者として、明代初期に大きな影響を与えた人物であり、その名前は歴史に深く刻まれています。

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