孟観

孟観（もうかん）

孟観（生年不詳 - 301年）は、中国西晋時代の武将であり政治家。字は叔時。勃海郡東光県出身。

生涯

若い頃から学問を好み、特に天文学に精通していた。

太熙元年（290年）、司馬炎（武帝）が崩御し、司馬衷（恵帝）が即位すると、孟観は順調に昇進を重ね、殿中中郎に任じられた。

永平元年（291年）正月、孟観は当時権勢を振るっていた楊駿に軽んじられていたことを恨んでいた。そこで、同じく楊駿と対立していた李肇と共に皇后賈南風の下へ赴き、「楊駿が国家を転覆させようとしている」と讒言した。賈南風はかねてより楊駿とその娘である皇太后楊芷を疎ましく思っていたため、これを機に楊駿を排除しようと企て、孟観に使者を送り、その意思を間接的に伝えた。これを受けて孟観は、李肇や宦官の董猛と共に謀略を練り、政変の準備を進めた。

3月、孟観と李肇は計画を実行に移し、恵帝に楊駿の謀反を訴えた。また、楊駿の官職を全て剥奪し、臨晋侯として家に帰るよう命じる詔を夜中に作成し、大声で読み上げた。さらに、楊駿の罪を捏造し、事実であるかのように主張した。こうして洛陽城内外に戒厳令が敷かれ、宮中の兵には楊駿の捕縛が命じられた。当時、楊駿は武庫の南にある曹爽の旧邸にいたが、異変を知ると馬小屋に逃亡しようとしたところを殺害された。その後、孟観は楊駿の兄弟である楊珧・楊済、配下の張劭・李斌らを全て逮捕した。楊氏一族は皆殺しとなり、楊芷は庶人に落とされて金墉城に監禁された。これらの功績により、孟観は黄門侍郎に任じられ、特別に信頼されていた部下40人が与えられた。後に積弩将軍に昇進し、上谷郡公に封じられた。

元康6年（296年）、匈奴の郝度元が反乱を起こすと、秦・雍の地で羌族も呼応し、斉万年を皇帝に推戴し、その兵力は数十万に膨れ上がった。11月、朝廷は梁王司馬肜・安西将軍夏侯駿・建威将軍周処に反乱の鎮圧を命じた。中書令の陳準は、孟観に精兵1万を与えて周処の先鋒とすれば必ず賊を鎮圧できると進言したが、受け入れられなかった。果たして司馬肜らは反乱軍に敗北した。その後も討伐軍が派遣されたが、斉万年の勢いを止めることはできなかった。

元康8年（298年）9月、中書監の張華と中書令の陳準は、孟観が沈着冷静で剛毅であり、文武両面に優れた才能を持っていることから、斉万年討伐に任命するよう推薦した。これを受けて孟観は討伐軍の総大将となり、俊敏で勇敢な宿衛兵と関中の兵士を率いて征伐に向かった。孟観は自ら矢面に立ち、十数回に及ぶ大規模な会戦で全て勝利を収めた。

元康9年（299年）正月、孟観は扶風郡美陽県の中亭川に進軍し、迎え撃ってきた氐族の軍勢に大勝し、ついに斉万年を生け捕りにした。これにより、氐族や羌族を威圧し、服従させた。その後、東羌校尉に任じられ、やがて中央に呼び戻されて右将軍に任じられた。

永康元年（300年）4月、趙王司馬倫がクーデターを起こし、賈南風一派を誅殺した。孟観は以前からの功績により、安南将軍・監沔北諸軍事に任じられ、仮節を与えられて宛に出鎮した。

8月、淮南王司馬允が司馬倫誅殺を掲げて決起すると、孟観の子である孟平は前鋒将軍としてこれに加担したが、乱は失敗に終わり、孟平は戦死した。司馬倫の側近である孫秀は、孟観が兵権を握って外にいることを警戒し、孟平の死に怒って兵を挙げることを恐れた。そこで、孟平が司馬允に殺害されたという嘘を流し、孟平に積弩将軍を追贈して孟観を慰撫した。

永康2年（301年）正月、司馬倫が帝位を簒奪すると、斉王司馬冏は司馬倫討伐の檄文を各地に送り、各地で義軍が蜂起した。多くの者が孟観に司馬冏に呼応するよう勧めたが、孟観は天文学の知識から、紫宮や帝座の星に異変がないことから司馬倫こそが安泰であると考え、周囲の意見に従わず司馬倫に味方した。

3月、司馬倫の軍が敗北すると、孫秀らは孟観が守る宛に逃亡しようと考えたが、決断できなかった。恵帝が復位すると、司馬冏の命を受けた永饒冶県令の空桐機は宛に赴き、孟観を捕らえて処刑した。その首は洛陽に送られ、一族は皆殺しとなった。

参考文献

『晋書』巻31 列伝第1、巻60 列伝第30
『資治通鑑』巻82 - 巻84

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