横浜本牧駅

横浜本牧駅は、神奈川県横浜市中区錦町に位置する、神奈川臨海鉄道本牧線の貨物駅です。日本の主要な国際貿易港である横浜港の本牧埠頭に隣接しており、特に海上コンテナ輸送を中心とした貨物取り扱いの拠点として、同路線の基幹駅の一つとして重要な役割を担っています。

歴史

この駅の起源は、1969年（昭和44年）10月1日に「本牧操駅」として開設されたことに遡ります。開業から約20年後の1989年（平成元年）4月16日には、東京貨物ターミナル駅との間で海上コンテナ輸送に特化した専用列車の運行が開始され、国際物流の結節点としての機能が強化されました。そして、1990年（平成2年）3月10日、現在の駅名である「横浜本牧駅」へと改称されています。

駅構造と設備

横浜本牧駅は地上に展開する駅であり、大規模なコンテナ貨物を取り扱うためのコンテナホームが1面設けられています。このホームには、効率的な荷役作業を行うための線路が2本引き込まれています。構内には、駅の運営管理を担う本牧総合事務所が設置されており、駅員が常駐する有人駅となっています。本牧総合事務所には、神奈川臨海鉄道の横浜支社が置かれているほか、構内で働く人々のための食堂や、物流関連の運送会社などのテナントも入居しており、駅の機能を多角的に支えています。また、貨物列車の運行や車両整備を行う横浜機関区も駅構内に併設されています。

かつて駅構内の横浜機関区付近からは、東南方向へ向かう「国際埠頭専用線」が分岐していました。この専用線は本牧線の開業と同時に敷設されたもので、一時は専用の無蓋車やコンテナ車を用いて、上越線の渋川駅まで工業用塩を輸送する重要な役割を担っていました。しかし、この塩輸送の着荷主である関東電化工業が事業拠点を集約したことに伴い、2005年8月をもって塩輸送が終了し、以降、国際埠頭専用線は休止状態となっています。また、国際埠頭専用線の途中からは「日本農産工業専用線」も分岐していましたが、こちらは1991年（平成3年）5月に廃止されています。休止状態が続いていた国際埠頭専用線ですが、2013年に「南本牧はま道路」の橋脚設置工事が行われた際、工事に支障するため、休止線の一部であるかもめ町付近の鉄道関連施設が一時的に撤去されました。しかし、2017年の道路竣工に伴い、休止線にも関わらず、撤去区間の線路を新たに再敷設するという異例の対応が取られています。

駅設備としては、2000年（平成12年）2月1日に構内に保税蔵置場が開設された点も特筆されます。これにより、コンテナの通関業務を駅構内で行えるようになり、輸送時間の短縮や手続きの簡略化が実現しました。これは、ISO規格の国際海上コンテナを大量に扱う当駅にとって、非常に重要な施設となっています。

列車運行に関しても変化が見られます。かつては仙台臨海鉄道の仙台港駅との間に海上コンテナ専用列車が1日1往復運行されていましたが、2010年（平成22年）3月13日のダイヤ改正で、盛岡貨物ターミナル駅と東京貨物ターミナル駅を結ぶ列車に振り替えられる形で廃止となりました。これにより、現在、当駅とJR線を結ぶ定期貨物列車は、東京貨物ターミナル駅との間に設定されているコンテナ列車が1日1往復のみとなっています。取り扱うコンテナの種類も時代と共に変化しており、以前は構内コンテナホームの大半を占めていた大型の海上コンテナに加え、近年では12フィートコンテナや化成品輸送用のコンテナが多く取り扱われるようになっています。

取り扱い貨物

横浜本牧駅はコンテナ貨物を取り扱う駅として、特に海上コンテナ輸送が盛んなことから、神奈川臨海鉄道本牧線の収益を支える「ドル箱路線」の拠点駅となっています。横浜港本牧埠頭に近接している地の利を活かし、通常の12フィートコンテナに加え、大型の20フィート、30フィートコンテナ、さらには国際海上輸送に対応した20フィート、40フィートの海上コンテナも取り扱っています。取扱品目は横浜港本牧埠頭からの輸出入品が中心ですが、特徴的なものとして、年度末に宇都宮貨物ターミナル駅からNISSANカーパックコンテナで輸送される日産自動車製の高級輸出自動車があります。その他にも、ラテックスやMDIなどの化成品類、ENEOS根岸製油所から出荷される潤滑油、そして日清オイリオグループ横浜磯子工場で生産される食用油など、多岐にわたる貨物が取り扱われています。

駅周辺

駅周辺には、大規模な横浜港本牧埠頭をはじめ、日産自動車の専用埠頭、三井物産コイルセンター、三菱重工業横浜製作所、ENEOS根岸製油所など、日本の産業を支える重要な施設が多数立地しており、これらの施設との連携が当駅の貨物取扱機能に大きく寄与しています。

保存車両

当駅構内には、かつて横浜港周辺の引き込み線で活躍した歴史を持つ、国鉄C56形蒸気機関車（C56 139号機）が静態保存されています。ただし、これは非公開となっており、一般の見学はできません。

隣の駅

神奈川臨海鉄道本牧線において、横浜本牧駅は根岸駅と本牧埠頭駅の間に位置しています。

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