橋本寿朗

橋本寿朗

橋本寿朗（はしもと じゅろう、1946年5月2日 - 2002年1月15日）は、日本の著名な経済学者であり、特に近現代の日本経済史、企業システム、産業政策に関する研究で知られています。埼玉県加須市出身で、東京大学経済学部を卒業後、同大学院経済学研究科博士課程を修了しました。1985年には、「大恐慌期の日本資本主義」の研究で経済学博士の学位を取得しています。

経歴と研究

橋本は、電気通信大学講師、助教授を経て、東京大学社会科学研究所の助教授、教授を務めました。その後、法政大学経営学部教授としても教鞭を執り、後進の育成に尽力しました。彼の研究は、宇野弘蔵の経済学理論を基盤とし、マルクス経済学の視点から日本経済の構造や歴史的発展を分析するものでした。特に、大恐慌期の日本資本主義の分析は、彼の代表的な業績の一つとされています。

1984年には、著書『大恐慌期の日本資本主義』でエコノミスト賞を受賞し、その研究が高く評価されました。橋本は、単に学術的な研究に留まらず、実業界とのつながりも深く、セゾングループの堤清二とは親交があり、セゾンの社史編纂にも携わりました。また、社会学者の朝倉景樹は実の甥にあたります。

著作活動

橋本寿朗は、数多くの著書や論文を発表しており、その研究成果は多岐にわたります。代表的な著書としては、以下のようなものが挙げられます。

『大恐慌期の日本資本主義』（東京大学出版会、1984年）
『日本経済論 二十世紀システムと日本経済』（ミネルヴァ書房、1991年）
『戦後の日本経済』（岩波新書、1995年）
『現代日本経済史』（岩波書店、2000年）
『戦後日本経済の成長構造 企業システムと産業政策の分析』（有斐閣、2001年）
『デフレの進行をどう読むか 見落された利潤圧縮メカニズム』（岩波書店、2002年）
『戦間期の産業発展と産業組織』（東京大学出版会、2004年）

また、共編著として以下のような著作があります。

『両大戦間期日本のカルテル』（武田晴人共編著、御茶の水書房、1985年）
『セゾンの歴史 変革のダイナミズム』（由井常彦編、小山周三共著、リブロポート、1991年）
『革新の経営史 戦前・戦後における日本企業の革新行動』（由井常彦共編、有斐閣、1995年）
『20世紀資本主義 1 技術革新と生産システム』（編、東京大学出版会、1995年）
『日本企業システムの戦後史』（編、東京大学出版会、1996年）
『日本型産業集積の未来像 「城下町型」から「オープン・コミュニティー型」へ』（清成忠男共編著、日本経済新聞社、1997年）
『現代日本経済』（長谷川信、宮島英昭共著、有斐閣アルマ、1998年）
『規制緩和の政治経済学』（中川淳司共編、有斐閣、2000年）
『近代日本経済史』（大杉由香共著、岩波書店、2000年）
『日本経済本38 歴史から見直す現代日本経済』（編、平凡社、2001年）
『わが記憶、わが記録 堤清二×辻井喬オーラルヒストリー』（御厨貴、鷲田清一共編、中央公論新社、2015年）

これらの著書を通して、橋本は、日本経済の歴史的変遷と構造を詳細に分析し、現代経済が抱える問題に対する深い洞察を提供しました。

影響と評価

橋本寿朗の研究は、経済学界だけでなく、実業界にも大きな影響を与えました。その鋭い分析と深い洞察力は、多くの研究者や実務家から尊敬を集めました。橋本は、宇野経済学の理論を継承しつつ、独自の視点から日本経済の歴史を読み解き、その複雑な構造を明らかにしました。彼の業績は、現代においても、日本経済を理解するための重要な基礎となっています。

橋本寿朗の逝去後も、彼の著作は読み継がれており、その思想と分析は、現代の経済学研究においても重要な参照点となっています。

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